著者
梅野 博仁 濱川 幸世 権藤 久次郎 白水 英貴 吉田 義一 中島 格
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.285-288, 2002 (Released:2007-10-25)
参考文献数
5
被引用文献数
5 3

成人10名にカプサイシンを10-6 mol/mlに溶解させた蒸留水を口腔内に噴霧し,噴霧前と噴霧後の唾液中に含まれるサブスタンスP(以下SPと省略)の濃度を測定した。同様に,成人10名にカプサイシンを1枚につき6×10-8 mol程度含有した市販のガムを使用して,ガムを噛む前と噛んだ後の唾液中SPの濃度も測定した。その結果,カプサイシン投与後,ガムを噛んだ後,ともに有意な唾液中のSPの上昇を認めた。同様に筋萎縮性側索硬化症,パーキンソン病,眼咽頭型筋ジストロフィー症,ギランバレー症候群,脊髄小脳変性症患者でも,カプサイシン投与でSPが有意に上昇した。したがって,カプサイシン入りガムを噛むことで咀嚼・嚥下の訓練になり,さらに唾液中のSPが上昇することで嚥下反射が起こりやすくなることが期待できる。嚥下訓練にカプサイシン入りガムを用いるのは有用と考えられた。