著者
廣瀬 直紀 白石 三恵 春名 めぐみ 松崎 政代 吉田 穂波
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.342-349, 2016 (Released:2017-03-08)
参考文献数
30

目 的 震災が妊婦及び児の身体に与える影響は明らかになっていない。本研究の目的は系統的文献レビューを行い,震災が妊婦や児の身体に与える影響を個々の妊娠転帰別,及び対象者の特性別に明らかにすることである。方 法 震災後の妊娠転帰をアウトカムとした論文を集約するため,キーワードを用いて英語及び日本語文献を対象に電子データベース検索(PubMed, CINAHL, CiNii,医中誌)及びハンドサーチを行った。抽出された論文から包含基準,除外基準に基づき論文を選択した後,Risk of Bias Assessment Tool for Nonrandomized Studies(RoBANS)による評価を行い,包含する論文を決定した。全過程は2名の独立したレビュアーにより行われた。結 果 最終的に6編の論文が包含された。アウトカムとされた主たる妊娠転帰は早産,子宮内胎児発育遅延,低出生体重児の3つであった。震災後の妊娠転帰として4編の論文で早産率の増加,1編の論文で子宮内胎児発育遅延率の増加,2編の論文で低出生体重児率の増加が報告されていた。また,対象者の特性別に分析したところ,妊娠初期に被災した群において有意に在胎週数および出生体重が減少,早期早産率および低出生体重児率が増加し,そして児が女児の群において有意に早産率および低出生体重児率が増加するなど,強い妊娠転帰の悪化が報告されていた。結 論 震災が妊婦の早産,低出生体重児の増加につながる可能性が示唆された。また,被災した妊娠週数や児の性別によって震災への脆弱性に差がある可能性が示唆されたことから,こうした要因については今後の災害対応において考慮する必要がある。
著者
白石 三恵
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

ヘルスビリーフモデルを活用した妊娠中期の栄養指導介入により、介入群ではたんぱく質、ビタミンB6、ビタミンB12のエネルギー調整栄養素摂取量が妊娠中期から妊娠末期に増加する傾向が見られ、n-6系多価不飽和脂肪酸は減少する傾向が見られた。しかしながら、妊娠中期から妊娠末期の栄養素摂取に有意な変化が見られた栄養素はなかった。一方で血中濃度については、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、葉酸、25-ヒドロキシビタミンDが、介入群では対照群に比べ、妊娠末期に有意な増加が見られた。今後は、栄養素摂取量・血中濃度の向上に最も効果的である介入時期、介入回数を検討する必要がある。