著者
吉田 智治 白石 慶
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.3051-3062, 2009 (Released:2012-04-24)
参考文献数
86

高齢化につれて脳・心血管疾患を有する症例が増加している.脳・心血管疾患において抗血栓療法は大変重要であり,血管イベントの二次予防目的に抗血小板薬を投与されている症例も多い.なかでも頻用されている低用量アスピリンは,食道,胃,十二指腸,小腸,大腸にいたる全消化管の粘膜傷害を引き起こす可能性がある.この消化管粘膜傷害は,出血や穿孔を合併し時に致命的となりうるため,適切な対策が急務である.また,消化管出血に伴い,低用量アスピリンなどの抗血小板薬を休薬中に,重篤な血栓塞栓症を合併した症例も経験される.よって,迅速かつ適切な内視鏡的止血を達成し,早急に抗血小板薬を再開することが求められる.この様な抗血小板薬と消化管傷害に関する情報は,消化器科医のみならず,抗血小板薬の処方医も共有し,各診療科が連携を取りつつ症例毎に適切な抗血小板薬の投与ならびに消化管病変の発生予防,発生時の対処を行うべきであると考えられた.
著者
菰田 太郎 白石 慶子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.336-340, 1964-08-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

市販クン液18種について, 有害性成分であるフェノール類, メタノール, 重金属, ヒ素および有機酸について試験を行なった. フェノール類はフェノールとして, 国産品16種の場合は0.008~0.675%, 米国製品2種の場合は2.42, 15.88%と高い含量を示した. ホルムアルデヒドは0.6~450mg%, メタノールは0.007~1.600%の範囲であった. 亜鉛は17種の試料のうち15種に認められ, 鉛およびヒ素等に比べてその含量も高く, 最高値50ppm, 平均値14ppmを示した. 鉛は試料の半数に含まれ, 最高値14ppm平均値2ppm. ヒ素は18種の試料のうち14種に含まれ, 最高値4ppm, 平均値1ppmを示した. 有機酸は酢酸として0.1~6.3%であった. なお, 3, 4-ベンツピレン等の発がん性物質については目下試験中である.以上の試験結果により, 現在市販されているクン液にはフェノール類, メタノール, ホルムアルデヒド, ヒ素, 重金属類等が含まれているので, クン液について成分規格および使用基準の法的規制をすることが望ましい.