著者
益田 昭彦 夏目 武 中村 國臣 小野寺 勝重 原田 文明 堤 晴雄 小渋 弘明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.554-563, 2003

2002年10月IEC総会が中国北京市で開催され,TC56(Dependability)の総会も同時開催された.日本の代表団は7名となり従来になく充実した討議を行うことができた.今回の焦点はIEC 62309の再使用される電子部品の信頼性要求事項に開する規格で,地球環境にディペンダビリティが関わる第一歩となった.すなわち資源循環型社会の構築に不可欠なreuse (再使用)について信頼性の視点から規格を設けることである.またSAG(戦略諮問会議)では,TC56の基本活動範囲の中でディペンダビリティの概念を拡張する方向付けが容認されている.すなわち従来の信頼性・安全性の範囲を拡大してサービスや環境への指向を考慮することになった.その他の案件は審議継続または定期的更新のものであるが,大幅な見直しを行うものも多い.例えばFMEAやRBD(信頼性ブロック図)の規格が見直されている.今回の開催国である中国はWTOへ加入して国際規格の適用をアピールしており,TEC総会への肩入れには多大なものがあった.2003年のIEC/TC56の総会はシドニーでの開催が決まっており,北京会議以降もIEC/TC56国内委員会で日本の意見反映に努力している.
著者
益田 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.161, pp.41-45, 2009-07-24
参考文献数
7

人間・機械系では,人間による系の任務を損なう事象には意図せぬ行為だけでなく,意図的な行為が含まれる.この中で確信的な行為はもたらされる影響を予期して行う行為である.「うそ」は代表的な行為で,結果は有益にも有害にもなりうる.この発表では確信的人為事象の心理的な原因を探り,さらに以心伝心の間柄に起きるサービス不具合やドッキリ行為におけるサービス効果と不具合について考察する.
著者
益田 昭彦 佐藤 吉信 夏目 武 小野寺 勝重 中村 國臣 西 干機
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.480, pp.23-28, 2005-12-09
被引用文献数
3

2005年IEC/TC56(ディペンダビリティ)全体会議が韓国済州(チェジュ)市で9月25日から30日まで開催された。14カ国46名の各国代表が集まり、日本からも6名参加した。会議は取り立てて波乱もなく行なわれ、4作業グループで総計13の規格が審議され、次の段階に進むことになった。特に、日本は発行されたIEC 61160 Ed.2デザインレビューの規格に含まれない部分のデザインレビューに関する新規作業の提案書を提出することを約束した。全般として、WG1(ディペンダビリティ用語)とWG4(ディペンダビリティのシステム側面)が運営上苦戦している様子である。
著者
益田 昭彦 夏目 武 中村 國臣 小野寺 勝重 原田 文明 堤 晴雄 小渋 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.542, pp.7-14, 2002-12-13

2002年のIEC総会は中国北京市で開催され、TC56(ディペンダビリティ)の会議も同地で10月28日から11月1日まで行われた。今回、日本から7名が参加したため、これまでより充実した討議を行うことができた。特記すべきはIEC62309のリユース電子部品の信頼性に関する規格の討議が初めて行われたことで、環境問題、特に資源循環型社会の構築に寄与する案件である。SAG(戦略諮問会議)でも、ディペンダビリティの対象範囲を狭義の信頼性から安全性へ、さらに環境へと広げることが容認された。リユースに関する規格はその尖兵的役割を担っているため、各国の関心を集めた。他の案件の大部分は審議継続または定期的見直しであるが、改版するにあたり、現状を鑑みて大幅な改訂を行っているものもかなりある。開催国である中国はWTOへの加入を契機に国際規格への関心が高まり、この総会への肩入れには多大なものがあった。
著者
益田 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.125, pp.41-46, 2008-07-04
被引用文献数
1

これは、サービスのように、ある事象モードから有益と有害の両方向の影響が及ぼされる場合の解析ツールとして提案したEMEAに関わる報告である。自然変化や非意識的な人為変化に基づく原因系事象の抽出にはHAZOP法を改良した誘導語を用いると可能であるが、悪意や善意に基づく意識的な人為変化に基づく原因系事象は誘導語に加えて意図語を用いることにより可能にできる。しかし、これらには"だまし"の要素が含まれていなかった。この報告では、サービスの供給者が、その受容者に対するだましを含む"ちょい悪"行動について検討した。それにより、期待していた受容者のサプライズを得られずに、想定外の望ましくない影響を招来してしまう愚かな判断過程について考察した。