著者
齋藤 司 相澤 仁志 澤田 潤 油川 陽子 片山 隆行 長谷部 直幸 林 恵充 安栄 良悟 佐藤 正夫 程塚 明
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.133-137, 2009-11-25 (Released:2010-03-29)
参考文献数
8
被引用文献数
6 1

【背景・目的】小脳梗塞の臨床的特徴を検討し,初期診療上の問題点を明らかにする.【方法】2006年1月1日から2008年12月31日までの3年間に,旭川医大病院Stroke teamが診療した脳卒中患者514例のうちの小脳梗塞患者22例(4.3%)を対象とした.【結果】典型的な小脳症状を全く呈さない症例,あるいは一つのみ呈する症例が8例(36.4%)見られた.3例が救急車を利用し発症後3時間以内に受診したにもかかわらず,当初小脳梗塞と診断されず神経内科や脳神経外科以外の病棟に入院した.その3例はいずれもめまいを主訴とし,構音障害と歩行障害が見られなかった.その他2例を合わせ全体の22.7% にあたる5例が,Stroke teamによる初期の診察を受けておらず,それが当初小脳梗塞と診断されなかった要因の一つと考えられた.【結論】めまいや嘔吐を主訴とする場合は,常に小脳梗塞である可能性を考慮する必要がある.Stroke teamによる早期の正確な神経学的診察が重要である.
著者
相澤 仁志 松橋 浩伸 菊池 健次郎
雑誌
THE CIRCULATION FRONTIER (ISSN:13432036)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.55-57, 2005-06

著者最終原稿版88歳女.座位保持困難を主訴とした.入院後,右片麻痺と嚥下障害が徐々に出現し,脳MRIで左橋に梗塞巣を認めた.D-マンニトールおよび塩酸オザグレルによる治療を開始したが,麻痺の改善はみられなかった.その後,肺炎を併発したため抗生物質を使用した.入院9日目に著明な下痢が出現し,検査によりMRSA腸炎と診断し,塩酸バンコマイシンの内服を開始した.翌日,著明な発汗と悪寒・戦慄を伴う40〜41度の発熱が持続し,血液培養で大腸菌とS.simulansを検出した.菌血症と判断し,更に抗生物質の追加投与を行った.入院13日目にJCSで200の意識障害が出現し,血糖値や血圧に著変はなかったが,その後,敗血症によるショックで一時的に血圧が低下した.入院16日目に脳MRIでは,両側淡蒼球にT2強調像で高信号の病巣を認めた.橋病変に変化はみられなかった