著者
日高 茂暢 眞鍋 優志 小泉 雅彦 室橋 春光
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-48, 2019-03-25

野外での療育活動の実践研究は、特定のスキル獲得が中心であり、子ども・青年の関係性に焦点をあてた検討は少ない。本研究の目的は、神経発達症のある子どもと青年の異年齢期交流が発達にもたらす影響を明らかにすることである。本研究では、親の会が企画する登山キャンプに参与観察し、キャンプ内で生じる参加者の異年齢期交流を調査した。登山キャンプでは、子どもと青年の間にナナメの関係性が生じやすいことが分かった。その結果、子どもにとっては近未来像として取り入れるロールモデルになること、青年にとっては支援者の行動を模倣し子どもに実践する養育性形成の場になることが考えられた。また登山キャンプは居場所として、集団精神療法のような心理的安定を促す要素があることが考えられた。神経発達症のある子どもや青年にとって、同年齢集団と比べ、異年齢集団の方が能力の差異を肯定的に承認されやすいと考えられた。