著者
高嶋 真之
出版者
日本教育政策学会
雑誌
日本教育政策学会年報 (ISSN:24241474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.146-155, 2019 (Released:2020-06-20)

The purpose of this paper is to analyze and examine the change of educational policy about juku in Japan, and to clarify the historical process up to today. The historical process was divided into three stages, focusing on how juku changed from criticism to acceptance in the educational policy. The results are as follows. First, from the late 1970s to the 1980s, the stage was set to expand the criticism of juku. The problems related to juku were emphasized, and various efforts not to attend juku have been implemented. In this stage, school and local government did not reach the idea of the acceptance of juku. Second, from the late 1980s to the early 2000s, was the stage of accepting but criticizing juku. The Ministry of Education tried to change the role of juku in accordance with the new idea of the educational policy, while taking consideration of the criticism of juku. Third, after the early 2000s, was the stage of accepting while suppressing the criticism of juku. The request of the role conversion did not look back, and the cooperation between juku and school or local government is progressing.
著者
高嶋 真之 大沼 春子 尹 景慧 淡路 佳奈実 川村 睦月 杉谷 真実 田宮 弘貴 松尾 奈緒 篠原 岳司
出版者
北海道大学大学院教育学研究院 教育行政学研究室・学校経営論研究室
雑誌
公教育システム研究
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-27, 2019-09-30

本稿は、北海道奥尻高等学校(以下、奥尻高校)の「町立化」に伴う変化を、教職員、生徒、地域住民へのインタビューより明らかにし、考察を加えた調査研究報告である。北海道南西部の奥尻島にある奥尻町は、町内の北海道立奥尻高校を2016年4月に町立移管した。この奥尻町の決定は、わが国において急激に進行する過疎化と人口減少、そしてそれに伴う郡部の高校の小規模化と存続の危機に対し、地元の自治体(主に町村)が高校経営の主導権を持ち、その存続と変革の道筋を拓くものと捉えられる。一方、奥尻高校が町立移管されたことに伴い、その高校教育にいかなる変化が起きるのかは、町の教育行財政および高校の学校経営の観点から追究されたい間いである。 今日の研究動向を概観してみると、高等学校の学校設置者移管に伴う当該自治体と学校経営の変化に焦点を当てた研究は、事例が稀少であることも重なり、決して多いとは言えない。「移管」という地方教育行政の政策選択について奥尻や他の事例に基づき検討したもの(小入羽・本多 2018、国立教育政策研究所 2019:104-115)や、高校を核とする今日的な地方創生のあり方として奥尻高校を事例に検討するもの(徳久 2018)が見られるが、それらは主として地方自治体ならびに教育行財政の観点で研究されたものであることから、高校の学校経営のリアリティについては焦点があたらないままである。 一方、小規模高校や町村立高校の研究は、島根県や鹿児島県の離島、そして北海道の郡部において小規模化する高校をその地域の持続的な発展や地元人材の育成と今日的な地方創生施策との関連で論じる研究(宮ロ・池・山本 2014、山内・岩本・田中 2015、樋田・樋田 2018)が見られる他、北海道大学の研究チームでも北海道北西部の天売島に存立する羽幌町立北海道天売高等学校と天売島の地域おこし実践との関係について調査研究をおこなってきた(高嶋・大沼・篠原他 2017)。島根県の海士町と島根県立隠岐島前高校の歩みを紹介する山内・岩本・田中による『末来を変えた島の学校』(岩波書店、2015年)は、研究としてまとめられたものではないが、町と高校が島留学生を迎え入れ変革の道を歩む過程を実際の生徒たちの学習と生活の様子から詳細に描かれており、本調査研究を進める上でも特に参考となったものである。 ただし、過疎地域の小規模高校とその存立自治体が抱える事情は多様であり、それぞれに固有の文脈を有していると考えられることから、上記の図書や文献等に留まらず複数の事例に視野を広げ、質的調査によって教職員や生徒らの声に基づく事例研究を積み重ねていく必要があるだろう。なにより、今日のわが国においては、人ロ減少社会における地域の持続的発展と学習権保障の課題を検討することは喫緊の課題であり、本調査は、奥尻島と奥尻高校が経験する高校の町立化が地方創生と高校教育にいかなる影響をもたらしたかを問うことで、国内の共通問題に対する一定の示唆をもたらせるものと考えている。 そこで本稿では、町立移管の後に様々な取り組みが進められていく奥尻高校の教職員、生徒、地域住民へのインタビューを行い、奥尻高校と奥尻町の変化の実態に迫ってみることにしたい。なお、町立移管の政策選択とその行財政の過程は別稿で著すこととする。 なお、本稿では、町立移管と「町立化」を次の意味で使い分ける。町立移管は、移管決定後から実際に移管が行われた時点までの過程を表し、「町立化」は町立移管後の町立高校としての歩みを含めた町立奥尻高校の末完のプロジェクトの総体を表している。
著者
佐久間 邦友 高嶋 真之 本村 真
出版者
国立大学法人 琉球大学島嶼地域科学研究所
雑誌
島嶼地域科学 (ISSN:2435757X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.21-40, 2020 (Released:2020-09-12)

本稿の目的は,離島における自治体主導型学習支援事業の取り組みの現状と課題を明らかにすることにある。今日,離島地域では多くの自治体が学校外の学習支援を実施している。特に沖縄県北大東村「なかよし塾」は,地域の教育課題解決を目指す「学習支援センター」と認識されており,公教育の一端を担う重要な存在であると言える。これらは使用可能な財源が多様にあることで可能になっている。しかし,制度的には,財源や講師の確保と評価方法の確立が,実践的には,学校との連携・協働可能な関係構築と安心して学べる環境づくりが課題である。引き続き,制度と実践の両側面から,離島における持続的な学校外の教育保障を模索していく必要がある。
著者
佐久間 邦友 高嶋 真之 本村 真
出版者
国立大学法人 琉球大学島嶼地域科学研究所
雑誌
島嶼地域科学
巻号頁・発行日
vol.1, pp.21-40, 2020

本稿の目的は,離島における自治体主導型学習支援事業の取り組みの現状と課題を明らかにすることにある。今日,離島地域では多くの自治体が学校外の学習支援を実施している。特に沖縄県北大東村「なかよし塾」は,地域の教育課題解決を目指す「学習支援センター」と認識されており,公教育の一端を担う重要な存在であると言える。これらは使用可能な財源が多様にあることで可能になっている。しかし,制度的には,財源や講師の確保と評価方法の確立が,実践的には,学校との連携・協働可能な関係構築と安心して学べる環境づくりが課題である。引き続き,制度と実践の両側面から,離島における持続的な学校外の教育保障を模索していく必要がある。