著者
有川 智子 眞鍋 治彦 久米 克介 加藤 治子 武藤 官大 武藤 佑理
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.100-104, 2017 (Released:2017-07-03)
参考文献数
11

静脈穿刺による末梢神経障害は,時に痛みや感覚障害が長期に持続し,治療に難渋する.静脈穿刺に伴う末梢神経障害で受診した16例について,症例の背景,穿刺部位,症状,治療経過を診療記録より後ろ向きに検討した.対象は,女性14例,男性2例,21~79歳.穿刺部位は,肘皮静脈11例(正中5例,橈側4例,尺側2例),橈側皮静脈3例,前腕尺側静脈2例であり,初診時に14例が痛み,2例が違和感を訴えた.握力低下10例,アロディニア6例,冷覚鈍麻6例,腫脹3例,血腫2例があった.治療は薬物療法を13例,リドカイン点滴を8例,星状神経節ブロックを4例,持続硬膜外ブロックを2例で行った.転帰は軽快10例,治療中4例,転院2例であった.今回の調査では,静脈穿刺による末梢神経障害は報告が少ない肘部橈側静脈でも発生していた.末梢神経と静脈の走行と神経損傷の知識の普及が重要である一方,どの部位でも起こりうることから,末梢神経障害を疑った場合にはただちに抜針・止血し,早期より治療を開始するよう啓発する必要がある.
著者
平森 朋子 眞鍋 治彦 久米 克介 有川 智子 武藤 官大 武藤 佑理
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.12-0061, (Released:2013-09-30)
参考文献数
13

発作性片側頭痛は,群発頭痛と同様に激しい片側痛とともに自律神経症状を呈するが,インドメタシンが著効することが特徴の,まれな疾患である.今回,群発頭痛からの移行,三叉神経痛との合併例を含む発作性片側頭痛の3 例を経験したので報告する.症例1 は31 歳,男性.突然5~6 回/時の頻度で,右後頭部痛が出現した.発作時に同側の流涙,眼瞼下垂,鼻閉を伴った.発作性片側頭痛を疑いインドメタシンの投与を開始したところ,痛みは消失した.症例2 は63 歳,女性.反復性群発頭痛として発作期のプレドニゾロンと予防薬としての炭酸リチウム,ベラパミルの投与を行っていたが,寛解期が短くなり,発作時にジクロフェナクで痛みが軽減したことから,インドメタシンを定期投与した.その後,発作は消失した.症例3 は77 歳,男性.特発性三叉神経痛としてカルバマゼピンの投与中であった.痛み発作時に同側の流涙,結膜充血,眼瞼下垂を伴うことがあったため,インドメタシンを併用投与した.その後痛みは軽減消失した.頭部・顔面痛は長期的な治療を要することが多いが,その経過中に痛みの性状が変化したり治療に抵抗性を示す場合には,他の疾患の合併を念頭に置く必要がある.
著者
有川 智子 眞鍋 治彦 久米 克介 加藤 治子 武藤 官大 武藤 佑理
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.15-0010, (Released:2017-05-26)
参考文献数
11

静脈穿刺による末梢神経障害は,時に痛みや感覚障害が長期に持続し,治療に難渋する.静脈穿刺に伴う末梢神経障害で受診した16例について,症例の背景,穿刺部位,症状,治療経過を診療記録より後ろ向きに検討した.対象は,女性14例,男性2例,21~79歳.穿刺部位は,肘皮静脈11例(正中5例,橈側4例,尺側2例),橈側皮静脈3例,前腕尺側静脈2例であり,初診時に14例が痛み,2例が違和感を訴えた.握力低下10例,アロディニア6例,冷覚鈍麻6例,腫脹3例,血腫2例があった.治療は薬物療法を13例,リドカイン点滴を8例,星状神経節ブロックを4例,持続硬膜外ブロックを2例で行った.転帰は軽快10例,治療中4例,転院2例であった.今回の調査では,静脈穿刺による末梢神経障害は報告が少ない肘部橈側静脈でも発生していた.末梢神経と静脈の走行と神経損傷の知識の普及が重要である一方,どの部位でも起こりうることから,末梢神経障害を疑った場合にはただちに抜針・止血し,早期より治療を開始するよう啓発する必要がある.
著者
平森 朋子 眞鍋 治彦 久米 克介 有川 智子 武藤 官大 武藤 佑理
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.479-483, 2013 (Released:2013-11-07)
参考文献数
13

発作性片側頭痛は,群発頭痛と同様に激しい片側痛とともに自律神経症状を呈するが,インドメタシンが著効することが特徴の,まれな疾患である.今回,群発頭痛からの移行,三叉神経痛との合併例を含む発作性片側頭痛の3 例を経験したので報告する.症例1 は31 歳,男性.突然5~6 回/時の頻度で,右後頭部痛が出現した.発作時に同側の流涙,眼瞼下垂,鼻閉を伴った.発作性片側頭痛を疑いインドメタシンの投与を開始したところ,痛みは消失した.症例2 は63 歳,女性.反復性群発頭痛として発作期のプレドニゾロンと予防薬としての炭酸リチウム,ベラパミルの投与を行っていたが,寛解期が短くなり,発作時にジクロフェナクで痛みが軽減したことから,インドメタシンを定期投与した.その後,発作は消失した.症例3 は77 歳,男性.特発性三叉神経痛としてカルバマゼピンの投与中であった.痛み発作時に同側の流涙,結膜充血,眼瞼下垂を伴うことがあったため,インドメタシンを併用投与した.その後痛みは軽減消失した.頭部・顔面痛は長期的な治療を要することが多いが,その経過中に痛みの性状が変化したり治療に抵抗性を示す場合には,他の疾患の合併を念頭に置く必要がある.
著者
眞鍋 治彦 久米 克介 加藤 治子 前原 大 平田 顕士
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.2-11, 2008 (Released:2008-02-16)
参考文献数
27
被引用文献数
1

帯状疱疹罹患例のなかで, 高齢者, 重症皮疹, 急性期高度疼痛, 皮疹出現に先行して疼痛を認める例は, 長期間疱疹痛が持続し帯状疱疹後神経痛に移行しやすい. このような患者では, アシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬を適切に用いるとともに, 発症早期より, 繰り返し神経ブロックを行うか, あるいは硬膜外腔に局所麻酔薬を連続的に注入するなど十分な鎮痛処置を行い, 疱疹痛が軽減・除去された状態を保つ必要がある. また, 神経ブロック適応外例では, リドカインの点滴静注を繰り返す. これらの方法は, 帯状疱疹による疼痛刺激の持続がもたらす末梢や中枢の感作・機能異常の発生を防ぎ, 帯状疱疹後神経痛への移行阻止に役立つと考えられる.