著者
瀬尾 理利子 久野木 順一 真光 雄一郎
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.144-148, 2004 (Released:2008-02-06)
参考文献数
6

【緒言】近年,整形外科領域において超音波診断法が徐々に普及してきた.骨盤輪不安定性に対する超音波診断法の可能性について調査した.【対象および方法】14名の成人女性を対象とし,超音波検査を用いて恥骨結合を描出し,安静時と運動による画像の変化を調査比較した.【結果】画像で恥骨は高輝度,恥骨結合は無エコー部を呈した.股関節伸展位,左右股関節屈曲位の画像で,恥骨間距離や恥骨の高さに変化が確認された.【考察】妊婦の腰痛として骨盤輪不安定症は重要な疾患である.評価法としてX線検査が一般的であるが,妊婦では被爆の問題からX線検査には限界がある.今回の調査で,肢位による画像の変化を認め,超音波検査により骨盤輪の不安定性を診断できる可能性があることが示唆された.超音波検査にて,骨盤不安定性を評価する有効性ついては検討の余地があるが,今後手技の確立を要する.

1 0 0 0 OA 妊婦の腰痛

著者
田代 俊之 久野 木順 蓮江 光男 真光 雄一郎 鎌田 浩史 星川 吉光
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛研究会雑誌 (ISSN:13417355)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.22-26, 1996-12-11 (Released:2010-06-28)
参考文献数
6
被引用文献数
2

妊娠時に腰痛を発症する女性は多い.そこで妊娠時腰痛の発症率, 臨床像, 危険因子などを調べるために, 分娩後10日以内の褥婦175例に対し, 入院中直接腰痛に対する問診および診察を行った.その結果妊娠中68%に腰痛を認めたが, その77.3%が31週までに発症していた.また30歳未満を若年群, 30歳以上を高齢群と分けると, 各群間の腰痛出現率に有意差は見られなかった.さらに, 分娩歴, 腰痛歴, 妊娠前後の体重差, 妊娠前肥満度, 新生児体重についても腰痛出現率に有意差は見られなかった.しかし, 初産婦では若年群で有意に腰痛出現率が高かった.また, 分娩直後の診察より仙腸関節部痛が18%に認められたが, 追跡調査の結果80%は1カ月以内に痛みが消失していた.