1 0 0 0 OA 妊婦の腰痛

著者
田代 俊之 久野 木順 蓮江 光男 真光 雄一郎 鎌田 浩史 星川 吉光
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛研究会雑誌 (ISSN:13417355)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.22-26, 1996-12-11 (Released:2010-06-28)
参考文献数
6
被引用文献数
2

妊娠時に腰痛を発症する女性は多い.そこで妊娠時腰痛の発症率, 臨床像, 危険因子などを調べるために, 分娩後10日以内の褥婦175例に対し, 入院中直接腰痛に対する問診および診察を行った.その結果妊娠中68%に腰痛を認めたが, その77.3%が31週までに発症していた.また30歳未満を若年群, 30歳以上を高齢群と分けると, 各群間の腰痛出現率に有意差は見られなかった.さらに, 分娩歴, 腰痛歴, 妊娠前後の体重差, 妊娠前肥満度, 新生児体重についても腰痛出現率に有意差は見られなかった.しかし, 初産婦では若年群で有意に腰痛出現率が高かった.また, 分娩直後の診察より仙腸関節部痛が18%に認められたが, 追跡調査の結果80%は1カ月以内に痛みが消失していた.
著者
土居 通泰 佐野 茂夫
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛研究会雑誌 (ISSN:13417355)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.48-54, 1998-10-12 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8

急性腰痛を即時的に軽快させることを目的に考案した新しい牽引療法の効果を検討した.牽引法は腰椎前彎を保持しながら背臥位にて両下肢を下垂させるもので, 7分後術者の首につかまらせながらゆっくり起こす.腰痛はほぼ全例で牽引開始後間もなく一時的に再現し, 次第に軽快した.対象は111例 (平均43歳) で, 85%にギックリ腰の既往歴があり, 全例根性坐骨神経痛を認めなかった.治療回数は1回35%, 2回22%, 3回9%, 4回以上34%で平均4.4回だった.投薬と注射は一切行わなかった.ペインスコアで治療成績を判定した.結果は著効42%, 有効50%, やや有効7%, 無効1%であった.筆者は本法を椎間関節性腰痛に有効と考えており, 好結果の原因は罹患椎間関節に適当な牽引力が加わり, 関節面の適合性の改善が得られたためと考える.薬や注射を用いず, 急性腰痛に即効する点で, 患者志向性の高い有効な治療法と考えた.