- 著者
-
矢入(江口) 郁子
猪木 誠二
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.2, pp.770-779, 2007-02-15
視覚・聴覚・下肢駆動機能の低下した高齢者・障害者の場合,現在の社会環境下では移動に不可欠な認知・駆動・情報入手の3 つの要素行動に問題が生じ,移動に制約や困難がともなう.移動は目的地への到達,気ままな散策など,自立的かつ快適に生活するための手段としてきわめて基本的,かつ必要不可欠な行動であるだけに,移動に制約や困難がある生活は辛い.その対応策として,歩行空間のバリアフリー化のための法制度や設備が国や自治体によって積極的に整備されているが,歩行空間すべてをバリアフリー化することは今後も困難であり,その代替手段として,IT 技術を応用した移動支援への要望が高まっている.このような社会的背景をもとに筆者らは,高齢者・障害者の自立的移動を支援するユビキタスシステム,Robotic Communication Terminals(以降RCT と略記)の研究を1999 年より実施してきた.本稿は,RCT 研究における産業界への技術移転のための具体的戦略と,研究成果の商品化について報告する.