著者
猪木 誠二 渡辺 錬士 呂 山
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.987-995, 2001-06-01
被引用文献数
41

1, 500語に及ぶ手話単語動作データベースの作成, 及び動作データから手話アニメーション文を作成・編集するためのツールを開発した.動作データベース作成の際の手話単語選択にあたっては, 聴覚障害者へのヒアリングを行い, 普段の生活で不便を感じている場面と状況を調査することで抽出した.動作データは, モーションキャプチャ手法とデータグローブを併用することで, 聴覚障害者の手話から作成した.手話単語アニメーションは多関節構造をもつ3次元キャラクタモデルの関節を動かすことで行った.手話アニメーション作成・編集ツールは, 日本語の文を入力すると口形が付加された手話アニメーション文が生成される.また, 手形, 動作開始位置, 及び動作プリミティブからの手話単語の検索も可能なユーザインタフェースも準備している.更に, 手話は表情・ジェスチャが聴覚障害者の言語の一部となっていることから, 手話に頻繁に付随する表情とジェスチャも手話アニメーション文に付加, 編集できるようになっている.聴覚障害者による評価実験を行った結果, 220単語については, 平均で93.2%の単語を同定することができた.また, 20文については平均82.5%を正確に理解, 10.0%をほぼ理解できた.
著者
矢入(江口) 郁子 猪木 誠二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.770-779, 2007-02-15

視覚・聴覚・下肢駆動機能の低下した高齢者・障害者の場合,現在の社会環境下では移動に不可欠な認知・駆動・情報入手の3 つの要素行動に問題が生じ,移動に制約や困難がともなう.移動は目的地への到達,気ままな散策など,自立的かつ快適に生活するための手段としてきわめて基本的,かつ必要不可欠な行動であるだけに,移動に制約や困難がある生活は辛い.その対応策として,歩行空間のバリアフリー化のための法制度や設備が国や自治体によって積極的に整備されているが,歩行空間すべてをバリアフリー化することは今後も困難であり,その代替手段として,IT 技術を応用した移動支援への要望が高まっている.このような社会的背景をもとに筆者らは,高齢者・障害者の自立的移動を支援するユビキタスシステム,Robotic Communication Terminals(以降RCT と略記)の研究を1999 年より実施してきた.本稿は,RCT 研究における産業界への技術移転のための具体的戦略と,研究成果の商品化について報告する.
著者
坂戸 博之 呂 山 猪木 誠二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI, ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.98, no.22, pp.81-86, 1998-03-13
被引用文献数
1

筆者らは聴覚障害者と健聴者とのコミュニケーションを支援することを目的として、手話アニメーション生成システムを開発している。このシステムでは、以前に提案した、身体の各部位の動きに注目した手話単語記述方式を基に、コンピュータグラフィックス(CG)アニメーションとして手話単語動作を生成している。このアニメーションについて、聴覚障害者7名を対象として手話単語118単語について評価実験を行ったところ、全体で63.8%の認識率を得ることができた。本稿では実験とその考案について報告する。
著者
今川 和幸 呂 山 猪木 誠二 松尾 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1787-1795, 1998-08-25
被引用文献数
22

手話動画像から両手を追跡するシステムにおいて, 手袋やマーカーを用いずに手を追跡する手法について述べる.素手の追跡の場合, 顔や首といった肌色領域の前では, 手が隠れて見えるという問題がある.そこで, 手話の場合, 手に比べ顔や首の動きが少ないことに着目し, 手話動画像から肌色領域(手・顔領域)を抜き出した画像と, その時間差分画像から求められる領域(ブロブ)をもとに, カルマンフィルタを用いて両手の位置を追跡する.更に, 肌色領域を抜き出す際に, 顔の前の手の動きが差分画像として安定的に得られることを目的とした色領域抽出手法を提案する.聴覚障害者の実際の手話動作による動画像に対して本手法を適用し, 肌色領域の前で動作する手の追跡に対して有効性を示し, その限界を明らかにする.
著者
神谷 俊之 原 雅樹 矢入(江口) 郁子 猪木 誠二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.591, pp.23-28, 2004-01-16
被引用文献数
6

我々は,従来から多様な歩行者の身体状況に応じた経路案内を行う歩行者支援GISについて研究開発を行っている.本稿では,バリア・バリアフリー情報を蓄積した歩行者移動支援GISの利用場面として,観光地などでのナビゲーション用途を想定し,ナビゲーションに適したユーザインタフェースとして3次元景観映像を用いた案内方法について検討を行った.さらに検討結果に基づき,自宅での予習的な利用を想定したPC版と利用者が実際に持ち歩くことを想定したPDA版の2種類のシステムの試作を行った.