著者
原 雅樹
出版者
広島市立大学国際学部
雑誌
広島国際研究 = Hiroshima Journal of International Studies (ISSN:13413546)
巻号頁・発行日
no.27, pp.[79]-90, 2021-12-01

In Bram Stoker's Dracula (1897), the Transylvanian vampire Dracula plans to invade England by sucking the blood of "new women" who embody the late 19th century sexual anarchy, and transforming them into his own species. The novel seemingly re-enforces traditional sexual norms because he is eventually defeated by the vampire hunters fighting to protect England, and Mina, who acts as their "angel in the house", a de-eroticized woman engaging in reproduction. However, a number of studies, including queer criticism that interprets bloodsucking as a metaphor for homosexuality, have attempted to bring to light the radical sexual politics latent in the novel. This paper argues that Mina "the angel in the house" is, paradoxically, even more perverse than Dracula, the embodiment of dangerous sexuality that threatens reproductive normativity. She not only directs her maternal love to Dracula, but also tries to help the men by copying the miscellaneous records about Dracula with a typewriter and editing them into a story, that is, Dracula. Since Dracula burns the original records, people can only learn about him through the copies, both in the world of the novel and in the real world. Mina is portrayed as a sexual pervert who, acting as an "angel in the house," gives birth to Dracula. By depicting her as a woman who subverts sexual norms through her subordination to them, the author is trying to present an alternative to the modern liberal subjectivity, what we might call liberty without subjectivity.
著者
柚原 雅樹 鮎沢 潤 大平 寛人 西 奈保子 田口 幸洋 加々美 寛雄
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.275-287, 2005-11-30
被引用文献数
3 5

The Cretaceous granitic rocks, the Kitazaki Tonalite and Shikanoshima Granodiorite, and veneer Oligocene sedimentary rocks, the Tsuyazaki Formation, are distributed in the Watari Peninsula, Fukuoka Prefecture. There are mineral veins composed by calcite and zeolites in those rocks. Rb-Sr, and fission track geochronological analyses were carried out for granitic rocks, in order to determine the cooling process of granitic rocks and timing of hydrothermal activity. Biotite and felsic fraction separated from the Kitazaki Tonalite and Shikanoshima Granodiorite give Rb-Sr isochron age of 108.6 ± 2.5 Ma and 107.0 ± 0.7 Ma, respectively. Fission track ages from the Kitazaki Tonalite are 97 Ma (titanite), 89-88 Ma (zircon), 14 Ma (apatite). Fission track ages from the Shikanoshima Granodiorite are 95 Ma (titanite), 87-84 Ma (zircon), 15 Ma (apatite). Fission track ages of apatite from granitic rocks are younger than the Tsuyazaki Formation, which suggests a thermal event at about 15 Ma to reset the fission track apatite age. The homogenization temperature of fluid inclusions in calcite are 89-111 °C (Kitazaki Tonalite), 95-118 °C (Shikanoshima Granodiorite) and 85-91 °C (Tsuyazaki Formation). Sr isotopic compositions of calcite and zeolites in granitic rocks and Tsuyazaki Formation are overlap with one another. These data suggest that vein minerals in granitic rocks and zeolites and calcite in the IC Member of the Tsuyazaki Formation were formed by a series of hydrothermal activity at about 15 Ma.
著者
亀井 淳志 阿部 幹雄 志村 俊昭 柚原 雅樹 大和田 正明 束田 和弘 外田 智千 木下 雅章
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.283-299, 2009-11-30

第50次日本南極地域観測隊(第50次隊)夏隊のセール・ロンダーネ山地地学調査隊は67日間におよぶ野外調査を行い,その間に必要な電力を太陽光発電で賄った.今回使用した太陽光発電システム(出力電圧約12 V)の1日あたりの発電量は6724 Ahであった.そして,この調査によって以下の3つの重要なことが明らかとなった.1)南極での野外調査生活に必要な電力は太陽光発電システムにより得ることが可能である.2)最大出力電流2.3 Aの太陽パネルは1日あたり910 Ahを発電する.3)夏季の南極は白夜のために日照が途絶える事はないが,当山地では0000 LTから0500 LT (昭和基地時刻) の間に太陽光発電ができない.
著者
前島 英恵 北原 雅樹
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.184-187, 2020-06-25 (Released:2020-06-30)
参考文献数
6

認知症は慢性疼痛の症状や治療に大きく影響するため,早期に気づき介入することが必要である.痛みの訴えによってペインクリニック外来を訪れる患者のなかには,痛みが実は認知症のために表れている症状の一つに過ぎず,本当の問題は認知症であるということがある.今回,睡眠障害を伴う難治性の背部痛として当科を紹介受診し,軽度のparkinsonismや幻覚,強い抑うつの存在からレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)の診断に至った1症例を経験した.診断後はDLBに対する薬物治療,認知機能に影響を及ぼす可能性のある鎮痛薬の整理のほか,今後予想される生活機能の低下への福祉的対応が必要であった.DLBは多彩な症状(認知機能低下以外に睡眠行動異常やparkinsonism,幻覚など)があるものの,アルツハイマー型認知症(Alzheimer's disease:AD)のように早期から記憶障害が前面に出現せず,疑わなければ気づきにくい.認知症の存在に気づくためには,認知症に関する知識の習得や高齢者に対する積極的な認知機能検査が必要である.
著者
藤原 雅樹
出版者
国際アジア文化学会
雑誌
アジア文化研究 (ISSN:13405411)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.107-121, 1998-06-14 (Released:2010-08-25)
参考文献数
27
著者
神谷俊之 呂 山 原 雅樹 宮井 均
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会情報メディア研究会報告
巻号頁・発行日
vol.1995, pp.27-34, 1995
被引用文献数
7

本稿では,高速広帯域のネットワーク化、出版の電子化、ディジタル化の進む次世代の電子図書館のためのインタフェースとして、3次元CGを用いた仮想空間内のウォークスルーと利用者のガイドの役割を果たすCG生成による司書を用いたシステムについて述べる。このシステムは従来のキーワード検索やカードによる検索のような、特定の検索対象を持ってシステムを利用する人ではなく、はっきりした検索対象を持たない利用者が自由に図書館の中のデータを探し歩く、情報散策を行うためのシステムである。また、情報空間の迷子問題に対処する手段としてCGによる人物像(CG司書)を画面内に表示し、音声によって対話することによりガイドを行う。
著者
山野 俊也 小林 祐介 原 雅樹 白川 芳幸
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.671-678, 2006-11-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

モニタリングポストは, 原子力施設における放射線及び放射性物質の漏えい監視のために有用な装置である。この装置は空間線量率 (μSv/h, nGy/h) や計数率 (cpm, cps) のデータを定期的に提供するものである。著者らはこのようなデータの他に原子力事故の早期の発見, あるいは異常データの的確な解釈に有用なγ線の飛来方向を計測できる新型のモニタリングポストを試作した。この検出器は, 扇形をしたNal (Tl) , CsI (Tl) , BGOの3種類のシンチレータと光電子増倍管より構成される。飛来方向によって, それぞれのシンチレータが作る光電ピークの計数が変化することを利用したものである。低エネルギーの241Am (60keV) , 中エネルギーの133Ba (356keV) , 137Cs (662keV) , 高エネルギーの60Co (1250keV) を用いて, 電磁カスケードモンテカルロシミュレーション (EGS) , 及び実験によってエネルギー領域ごとの方向計測感度の特性を評価した。この結果, 本検出器は広いエネルギー領域においてγ線の飛来方向を計測できることが確認された。
著者
加々美 寛雄 飯泉 滋 大和田 正明 濡木 輝一 柚原 雅樹 田結庄 良昭 端山 好和
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.44, pp.309-320, 1995-11-30
被引用文献数
10

瀬戸内・近畿地方の領家帯地域に分布する火成岩類の活動時期は, ジュラ紀初期-中期, 後期白亜紀, 中新世中期の3回である。最初のジュラ紀初期-中期に活動した火成岩類は領家花崗岩中に捕獲岩体として分布するはんれい岩, 変輝緑岩である。前者は下部地殻条件下 (6-8 kb) におけるソレアイト質マグマからの早期晶出相と考えられる。ノーライト, 角閃石はんれい岩, 変輝緑岩によるSm-Nd全岩アイソクロン年代は192±19 Maである。また, ノーライト, 角閃石はんれい岩中に不規則な形の産状を示す斜長岩質はんれい岩のSm-Nd全岩年代は162±29 Maである。後期白亜紀の火成活動は約110 Ma 前, 安山岩質マグマの活動で始まり, その後, 花崗岩の大規模な深成作用に引き継がれた。この深成作用は100-95 Maと80-75 Maの2つの時期に分けることができる。中新世中期の火成活動はユーラシア大陸から西南日本が分離, 移動したことにより引き起こされたものである。日本海形成(15 Ma)に関係した火成活動は, ユーラシア大陸東縁部の狭い範囲で始新世後期-漸新世初期に始まった。ジュラ紀初期*中期火成岩類の ^<87>Sr/^<86>Sr初生値, εNd初生値は後期白亜紀花崗岩類のこれらの値と似ている。このことは両火成岩類が似た起源物質から形成されたことを暗示している。一方, 中新世中期火成岩類のSr同位体比初生値, εNd初生値は以上の火成岩類の値とは著しく異なっている。中新世中期の日本海形成とともに, 西南日本弧の大陸性リンスフェアがフィリピン海プレート上にのし上げた。この出来事によって, 瀬戸内, 近畿領家帯地域下のリンスフェア・マントルはLILあるいはLREE元素に枯渇した化学組成をもつ様になった。中新世中期に活動した玄武岩はこの様にして形成された新しいマントルから形成された。高マグネシア安山岩は玄武岩を形成したマントルより浅い, 沈み込むプレートに由来する流動体相の影響を受けたマントルから形成された。安山岩, 石英安山岩は上部マントル由来のマグマと下部地殻の部分溶融によって出来たマグマとの混合物から形成された。それらのSr同位体比初生値とεNd初生値は, 下部地殻の部分溶融によって出来たマグマの寄与の程度により変わる。この下部地殻は苦鉄質化学組成をもち, 西南日本弧の後期白亜紀に活動した花崗岩類にとっても重要な起源物質である。
著者
神谷 俊之 原 雅樹 矢入(江口) 郁子 猪木 誠二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.591, pp.23-28, 2004-01-16
被引用文献数
6

我々は,従来から多様な歩行者の身体状況に応じた経路案内を行う歩行者支援GISについて研究開発を行っている.本稿では,バリア・バリアフリー情報を蓄積した歩行者移動支援GISの利用場面として,観光地などでのナビゲーション用途を想定し,ナビゲーションに適したユーザインタフェースとして3次元景観映像を用いた案内方法について検討を行った.さらに検討結果に基づき,自宅での予習的な利用を想定したPC版と利用者が実際に持ち歩くことを想定したPDA版の2種類のシステムの試作を行った.