著者
奥田 徹 矢嶋 瑞夫 高柳 勉 堀 郁郎 横塚 弘毅
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.446-451, 1996

キウイフルーツワイン発酵中における有機酸及びフェノール酸の濃度変化を調べた。果汁マストからワイン製造終了までの間, 主な有機酸類としてクエン酸, キナ酸, リンゴ酸及びアスコルビン酸が検出された。これらの有機酸のうち, キナ酸以外の有機酸は発酵中の濃度変化は認められなかった。キナ酸は発酵開始後1口目よりその濃度が苦干増加したが, 4日目から発酵終了まての間, 緩やかな濃度低下が見られた。フニノール酸の場合, クロロゲン酸が果汁の主要成分として検出されたが, 発酵開始とともにその濃度は急激に低下し, 5日臼には全く見られなくなった。これに対して, 果汁中には検出されなかったコーヒー酸が, 発酵開始後急速に生成し, 5日目には果汁中に存在したクロロゲン酸と同じ濃度にまでな-った。酵母を添加しない場合, 果汁中のクロロゲン酸の消失及びコーヒー酸の生成が認められなかったことから, 発酵中におけるクロロゲン酸の減少は, 酵母のエステラーゼによリクロロゲン酸が加水分解され, コーヒー酸とキナ酸が生成した結果であると考えられた。クロロ・ゲン酸は果汁中に8.2mg/l, 雛一ピー酸はワイン中に5.Omg/l, キナ酸は果汁中に7.4g/l含まれ, これらの量はそれらの苦味の閾値よりやや少なかったが, 他のワイン成分との相乗作用により, 果汁やワインの苦味に寄与しているものと考えられた。
著者
斉藤 絵里 岩附 聡 小出 醇 矢嶋 瑞夫 小島 靖
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.454-459, 2011-09-15 (Released:2011-10-12)
参考文献数
10

ペポカボ茶種子水抽出物の夜間頻尿改善作用を検討するため,脱脂ペポカボチャ種子粉末をティーバッグに入れ抽出したお茶を用いてヒト試験を行った.その結果,夜間排尿回数が摂取前期間と比較してペポカボ茶摂取1週目から有意に減少した.摂取前期間で平均2.23±0.77回であったのに対し,ペポカボ茶摂取3週目では1.30±0.51回と有意に減少した.また排尿時の排尿スピード,尿切れ,残尿感についても摂取前期間と比較して改善が認められた.さらに,睡眠についても改善が認められた.以上のことから,ペポカボ茶は夜間頻尿改善作用を有し,睡眠改善作用を持つ可能性が示唆された.我々のこの研究結果は,種子中の脂溶性成分以外の水抽出物に,排尿障害改善作用があることを明らかとした新しい知見である.