著者
奥田 徹
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.278-282, 2017-05-15 (Released:2017-05-26)
参考文献数
6
被引用文献数
1 3

The way of use of grape is divided into two types, i.e. table grape (eat in raw) and wine grape. In Japan, table grape left unsold are used to process to wine in history. But the quality required for table grape and wine grape is completely different. To make good quality of wine, many attentions are paid in recent grape growing. Sugar content is very important because it is converted to ethanol by fermentation. Malic and tartaric acid content is also important for sourness of resultant wine. But these compounds can easily adjust in its concentration by adding to grape juice/must. Besides these compounds, aroma compounds affect greatly to the wine quality. Aroma compounds have volatility and easily escape from liquid phase during wine-making. This effect partially causes the difference between smell of grape and wine. From this point of view, aroma-precursors considered to be more important. Aroma precursor is converted to aroma compounds during fermentation. For example, glucosidic aroma compounds have weak in smell and difficult to evaporate because of its solubility to aqueous phase by the effect of glucose attached. Once the glucose moiety is hydrolyzed with glucosidase during fermentation, it is changed to aroma compounds and is smell. Amino acids in grape berry are assimilated by yeast, and produce higher alcohol. Amino acids have no smell in grape, but their amount and composition will affect wine quality. Other aroma compounds precursors are also taken account of their concentration in grape at harvest for good quality winemaking.
著者
常盤 俊之 内田 有紀 奥田 徹
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.jjom.H26-02, 2015-05-01 (Released:2018-01-27)
参考文献数
19

盤菌類寄生性のStephanoma strigosum とMycogone cervina のテレオモルフ,Hypomyces stephanomatis とH. cervinigenus を日本新産として報告した.同定は分子系統学的手法により確認した.H. cervinigenus の子嚢胞子を培地上で発芽させ,Mycogone アナモルフを初めて確認した.
著者
常盤 俊之 奥田 徹
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.jjom.H20-10, 2009-11-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
13

イグチ類に寄生する日本産Hypomyces属菌5種とそのアナモルフのSepedoniumを記載し検討した.これらはH. melanocarpus, H. transformans, H. chlorinigenus, H. chrysospermus及びH. microspermusであり,前2種は日本新産種であった.また,日本特産種のホオベニシロアシイグチ(Tylopilus valens)をHypomyces melanocarpusの新寄主として報告した.さらに類似する2種H. chrysospermusとH. microspermusの形態と寄主範囲の相違点について論じた.
著者
矢嶋 端夫 乙黒 親男 松土 俊秀 奥田 徹 高柳 勉 横塚 弘毅
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.671-676, 1998-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

ワインから分離した産膜酵母(S. cerevisiae 6菌株およびCandida sp. 1菌株)および産膜酵母標準3菌株に対するパプリカ種子抽出物, 亜硫酸, ソルビン酸およびいくつかのフェノール化合物の抗菌性を検討した。分離7菌株およびCandida krusei(RIFY YTd3)を除いた標準2菌株(S. Serevisiae(RIFY3012)とCandida vini(RIFY2024))のいずれに対してもパプリカ種子抽出物は高い抗菌性を示し, そのMICは50~100μg/mlであった。また, 標準株C. kmsei(RIFY YTd3)はパプリカ種子抽出物に対して耐性を示したが, 亜硫酸には感受性を示し, そのMICは25μg/mlであった。パプリカ種子抽出物に対して耐性が弱い標準株Candida vini(RIFY2024)は, ソルビン酸および亜硫酸に対するMICが300μg/mlと高く, 菌株により特徴ある生育抑制傾向が認められた。分離したS. cerevisiae 2菌株とCandida sp., 標準株C. krusei(RIFY YTd3)およびC. vini(RIFY 2024), 計5菌株に対するパプリカ種子抽出物とソルビン酸, 亜硫酸あるいは種々のフェノール化合物とを併用したが, 顕著な相加あるいは相乗効果は認められなかった。ソルビン酸および亜硫酸は, pHが低いほど, またエタノール濃度が高いほど, 供試5菌株に対するMICは低下したが, パプリカ種子抽出物の抗菌性に対するpHの影響は小さかった。以上の結果, パプリカ種子抽出物はワインの産膜酵母に対して強い抗菌効果が認められ, さらに亜硫酸あるいはソルビン酸との併用により抗菌スペクトルが広がり, ワインの産膜酵母による汚染を防止できる可能性が示された。
著者
常盤 俊之 奥田 徹
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.jjom.H12-199, 2001 (Released:2020-10-13)
参考文献数
16

日本産Hypomyces菌,H. armeniacus,H. luteovirens,H. hyalinusを報告した.うち,H. armeniacusは日本新産種として記載した.H. luteovirensは子嚢胞子がこれまでの報告より大型で,H. hyalinusは子嚢殻がKOH(+)を示す標本が認められたため,それぞれ新知見として報告した.
著者
奥田 徹 矢嶋 瑞夫 高柳 勉 堀 郁郎 横塚 弘毅
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.446-451, 1996

キウイフルーツワイン発酵中における有機酸及びフェノール酸の濃度変化を調べた。果汁マストからワイン製造終了までの間, 主な有機酸類としてクエン酸, キナ酸, リンゴ酸及びアスコルビン酸が検出された。これらの有機酸のうち, キナ酸以外の有機酸は発酵中の濃度変化は認められなかった。キナ酸は発酵開始後1口目よりその濃度が苦干増加したが, 4日目から発酵終了まての間, 緩やかな濃度低下が見られた。フニノール酸の場合, クロロゲン酸が果汁の主要成分として検出されたが, 発酵開始とともにその濃度は急激に低下し, 5日臼には全く見られなくなった。これに対して, 果汁中には検出されなかったコーヒー酸が, 発酵開始後急速に生成し, 5日目には果汁中に存在したクロロゲン酸と同じ濃度にまでな-った。酵母を添加しない場合, 果汁中のクロロゲン酸の消失及びコーヒー酸の生成が認められなかったことから, 発酵中におけるクロロゲン酸の減少は, 酵母のエステラーゼによリクロロゲン酸が加水分解され, コーヒー酸とキナ酸が生成した結果であると考えられた。クロロ・ゲン酸は果汁中に8.2mg/l, 雛一ピー酸はワイン中に5.Omg/l, キナ酸は果汁中に7.4g/l含まれ, これらの量はそれらの苦味の閾値よりやや少なかったが, 他のワイン成分との相乗作用により, 果汁やワインの苦味に寄与しているものと考えられた。