著者
百永 真士 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.438-443, 1988-07-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

抗圧利尿剤チエニル酸のNa塩からのフリー化および結晶変換反応における反応促進と結晶粒径制御のために第2媒体の添加法を検討し, メチルイソブチルケトンが良好な添加剤であることを見いだした.また, 溶液中のチエニル酸結晶の界面エネルギーと製品粉体特性値との間に相関性のあることを明らかにした.次いで本反応晶析のスケールアップをZパラメータを適用して行い, 良好な結果を得た.
著者
吉野 寿高 百永 眞士 篠崎 勝彦 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.906-913, 1997-11-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
13

精製結晶として得られた医薬品の大部分は, 添加剤を混合して錠剤を造り, 服用される.このような医薬品に対して要求される最も重要な特性は, 錠剤からの溶出速度が所定値に調節できることである.錠剤の溶出速度は結晶の内部構造, 粒径, 添加剤との親和性などによって変化する.このような薬・剤複合化技術の開発として, 活性ビタミン剤であるオクトチアミンの晶析を行い, 最適な錠剤化が可能な晶析法および条件を確立した.さらに, 本晶析法のスケールアップ因子についても検討を行った.
著者
百永 真士 日比 文夫 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.192-197, 1984-03-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

バッチ操作におけるフェノキシ酢酸化合物の晶析を検討した.その結果, 製品代表粒子径Dpおよびその粒径分布関数のMax F (Dp) は下記の攪拌効果を含んだ式で相関された.Dp=4.64×10-2-8.75×10-5 NdθcMax F (Dp) =-420 Z+1.02×103ここで, θcは平均循環時間, Zは攪拌速度 N, 攪拌翼径 d, 攪拌槽径Dおよび粒子径Dpを含む無次元数である.前2式は80倍の幾何学的に非相似な晶析器のスケールアップにおいて, 粒径分布を制御するために適用できた.これより, スケールアップ因子Zは幾何学的に非相似な晶析槽のスケールアップにも適用できるものと考える.
著者
百永 眞士 大西 賢 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.553-561, 1992-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

充填性や流動性の良い粉体特性を有したセファゾリンナトリウム (化学式 : C14H13NaN8O4S3) の多形β形結晶を晶析することを目的として実験条件の検討を行った.その結果, 物理的, 化学的に安定なβ形の結晶を取得するためには, 水-ソルミックス (EtOH-IPA-アセトンの混合溶媒のことで, 各々の比は85%, 5%, 10%) 混合溶媒系で晶析温度の違いによる結晶の溶解度差を利用した晶析法が有効であることを見いだした.また, セファゾリンナトリウムに構造が類似したジアミノモノカルボン酸構造を有した化合物, またはL-リジン, L-アルギニンのようなアミノ酸を微量添加することによって, 板状結晶から針状晶が凝集した球形の凝集結晶に晶癖を調整する方法が確立できた.本晶析法によって医薬品のバイアル充填, カプセル充填に好適な結晶を得ることができた.さらに, 浮遊撹絆動力比Z因子をパラメータとして用いることによって, 粒径と粒径分布制御およびスケールアップが可能なことを明らかにした.
著者
加々良 耕二 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.680-685, 1990-07-10 (Released:2010-02-19)
参考文献数
6

セファロスポリン抗生物質の原料であるm-アミノーD-フェニルグリシン (m-APG) の合成過程で, 異性体であるp-アミノーD-フェニルグリシン (p-APG) が20%副生する.この異性体の分離法として, 塩酸塩水溶液にイソプロパノールを添加してp-APGのみを塩酸塩として, 優先的に析出させ, その濾液よりm-APGを単離する分別晶析法を見い出し, p-APGの含量を3%以下にすることができた。分別晶析の際, メタノールを添加するとm-APG塩酸塩の結晶析出が抑制されることを利用して, 最適な工業的操作法を確立した.さらに, 本分別晶析法のスケールアップについても検討を行った.