著者
向井 浩二 嶋 勝之 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.455-461, 1988-07-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
5

医薬品製造工程における回分濃縮操作において熱的に不安定な溶質を取扱う場合, その濃縮過程における状態変数の推移を予測して最適なプロセス操作条件の設定を行う必要があるので, そのシミュレーション手法を確立した. その手法の妥当性を検証するために, 3種類の反応釜および溶媒系について回分濃縮実験を行いその適用性を確認するとともに, 諸因子の濃縮へ及ぼす影響を見た.
著者
加々良 耕二 五島 俊介 市原 正治
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.415-421, 1999-05-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
9
被引用文献数
6 7

Vamicamide is a new anticholinergic agent useful for the treatment of urinary incontinence. Vamicamide is synthesized from benzonitrile in 6 steps which include reductive amination and separation of diastereomers as key steps. In this paper, the process development of Vamicamide is described not only from the point of organic synthesis but also from the industrialization standpoints such as scale-up, economy, safety and environmental control.
著者
加々良 耕二 家田 成 安田 広宣 生島 宗治 五島 俊介
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.257-264, 1995-03-15 (Released:2009-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

トリアルキルウレアには安定形のA形晶, 準安定形のB形晶と不安定形のC形晶が存在する.準安定形のB形晶を製造するために, 本化合物のトルエン中での晶析挙動をIRを用いて調べた.晶析温度が318,333Kの場合, 過飽和度SBに対応してB形晶, (A+B) 形晶及びA形晶が析出したが, 時間経過に伴ってB形晶はA形晶に転移した.298KではSBには無関係にC形晶が析出し, A形晶に転移した.B形晶からA形晶への転移速度定数κ, 転移が始まるまでの待ち時間θAに対する晶析条件の影響を500mlの晶析槽で調べ, さらに, 2l及び200l晶析槽を用いてスケールアップの検討を行った.以上の実験結果に基づき, 200lスケールで晶析実験を行った結果, A形晶を全く含まないB形晶を製造することができた.
著者
加々良 耕二 町谷 晃司 高須賀 清明 河合 伸高
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.437-443, 1995-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
6 4

テトラリン体の精製における溶媒媒介転移を抑制するために, 転移に及ぼす晶析温度, 溶媒組成および撹拌速度の影響についてDSCを用いて検討を行った.転移の過程を経時的に追跡した結果, ある待ち時間を経たのちS字型の曲線を示しながら, 準安定形のA形結晶から安定結のB形結晶に転移した.転移過程を溶液濃度一定, すなわち過飽和度が一定の領域に対して成長速度式を用いて解析し, 総括転移速度定数, およびB形結晶が析出し始めるまでの待ち時間と種々な晶析条件との相関を求めた.この基礎実験結果に基づき, 500lスケールでパイロット実験を行った結果, 安定形のB形結晶を含まない準安定形のA形結晶のみを製造することができた.
著者
加々良 耕二 山崎 広志 矢沢 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.604-609, 1994-09-15 (Released:2009-11-12)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

フォスミドマイシン精製晶析は液滴からの溶媒の物質移動を伴う結晶化過程と, 撹拌による析出結晶の機械的破砕過程を含む複雑な晶析法である.本晶析法によって得られるフォスミドマイシンの粒径および粒径分布をコントロールするため, 5lベンチスケールおよび200l一パイロットスケールで実験を行い, 粒径に関しては単位体積当たりの撹拌所要動力 (n3d5/V) およびZ因子が, また粒径分布に関しては単位時間当たりの流体の平均循環回数 (nd3/V) が装置形状・スケールに関係なく良好な相関関係を与えることを見出した.さらにこの因子を仕様の異る無菌室の200l晶析槽に適用した結果, 製剤化に適した所望の粉体特性を有するフォスミドマイシンが得られた.
著者
古賀 敬一 川上 良一 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.1174-1179, 1996-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
2 3

チアゾール酸には, 1.5水和物, 無水和物が確認されていたが, 今回, 新たな0.5水和物が出現したので, 各多形結晶のメタノール水溶液中における転移挙動を水分計, X線回折を用いて調べ, 多形間の相互関係を明らかにした.各多形結晶の転移はメタノール濃度に依存し, 1.5水和物の場合, 0~30Vol%では転移は起きず, 50~80Vol%では0.5水和物へ, 85~100Vol%では無水和物へ転移した.その際, 無水和物の種晶を1Wt%添加すると, 80Vol%でも無水和物へ転移した.0.5水和物の場合, 80~95Vol%では転移は起きず, 100%で無水和物へ転移した.無水和物の場合, 0~40Vol%では, 1.5水和物へ転移したが, 50~100Vol%では転移は起きず無水和物のままであった.
著者
古賀 敬一 平林 敏 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.430-436, 1995-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
6

チアゾール酸1.5水和物を安定的に無水和物に転移させる新しい晶析法を開発するために, 転移溶媒としてメタノールが最適であることを確認し, メタノール水溶液において種々の晶析を行った.その結果, 転移速度に及ぼすメタノール濃度, 晶析温度, 種晶添加効果および撹拌速度の影響を明らかにし, 安定的に無水和物へ転移させる晶析法を見い出した.
著者
向井 浩二 嶋 勝之 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.455-461, 1988

医薬品製造工程における回分濃縮操作において熱的に不安定な溶質を取扱う場合, その濃縮過程における状態変数の推移を予測して最適なプロセス操作条件の設定を行う必要があるので, そのシミュレーション手法を確立した. その手法の妥当性を検証するために, 3種類の反応釜および溶媒系について回分濃縮実験を行いその適用性を確認するとともに, 諸因子の濃縮へ及ぼす影響を見た.
著者
椋田 隆司 河合 隆範 及川 栄輝 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.734-739, 2003-11-20 (Released:2009-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

バミカミド塩酸塩にはA形晶(1水和物),B形晶(1.5水和物),C形晶(2水和物),D形晶(3水和物)の水和物結晶が存在する.これら水和物結晶の粉体特性および晶析挙動を調べ,濾過性がよく,粉塵爆発の危険性の最も小さなC形晶を選択し,その析出条件の設定を行った.C形晶は水和物結晶の中で最も溶解度が低い安定形であった.種晶無添加の場合,D形晶が析出し,その後溶媒媒介転移でC形晶に転移した.ところが,晶析温度から濾過温度に冷却する過程でD形晶が析出し,製品結晶に混入した.D形晶の析出を抑制するために,D形晶の過溶解度を求め,その過溶解度以下の領域で操作を行うことにより,D形晶の混入しないC形晶の製造条件を確立した.以上の実験結果に基づき,1,500l晶析槽でスケールアップ実験を行った結果,べンチスケールでの結果を再現でき,D形晶を含まないC形晶を製造することができた.
著者
百永 真士 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.232-237, 1991-03-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
3

医薬品の合成中間体であるピリジルアラニン (PA) はラセミ体を形成するので, 光学分割が必要である.ここでは, L-酒石酸を用いてジアステレオマー塩を形成させ, L-PAを優先的に分別晶析できることを見い出した.その際, NaOHを少量添加してL-酒石酸の塩を形成させることにより, 一方のD-PAの析出を抑制できることもわかった.これらの知見をもとに, 光学純度96%以上のL-PAを得る工業晶析法を確立した.
著者
加々良 耕二
出版者
分離技術会
雑誌
分離技術 (ISSN:13437860)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.354-358, 1997-12
著者
大嶋 寛 加々良 耕二
出版者
化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.587-590, 1997-08-05
参考文献数
40
被引用文献数
1
著者
加々良 耕二 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.680-685, 1990-07-10 (Released:2010-02-19)
参考文献数
6

セファロスポリン抗生物質の原料であるm-アミノーD-フェニルグリシン (m-APG) の合成過程で, 異性体であるp-アミノーD-フェニルグリシン (p-APG) が20%副生する.この異性体の分離法として, 塩酸塩水溶液にイソプロパノールを添加してp-APGのみを塩酸塩として, 優先的に析出させ, その濾液よりm-APGを単離する分別晶析法を見い出し, p-APGの含量を3%以下にすることができた。分別晶析の際, メタノールを添加するとm-APG塩酸塩の結晶析出が抑制されることを利用して, 最適な工業的操作法を確立した.さらに, 本分別晶析法のスケールアップについても検討を行った.
著者
椋田 隆司 河合 隆範 及川 栄輝 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.734-739, 2003-11-20
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

バミカミド塩酸塩にはA形晶(1水和物),B形晶(1.5水和物),C形晶(2水和物),D形晶(3水和物)の水和物結晶が存在する.これら水和物結晶の粉体特性および晶析挙動を調べ,濾過性がよく,粉塵爆発の危険性の最も小さなC形晶を選択し,その析出条件の設定を行った.C形晶は水和物結晶の中で最も溶解度が低い安定形であった.種晶無添加の場合,D形晶が析出し,その後溶媒媒介転移でC形晶に転移した.ところが,晶析温度から濾過温度に冷却する過程でD形晶が析出し,製品結晶に混入した.D形晶の析出を抑制するために,D形晶の過溶解度を求め,その過溶解度以下の領域で操作を行うことにより,D形晶の混入しないC形晶の製造条件を確立した.<br>以上の実験結果に基づき,1,500<i>l</i>晶析槽でスケールアップ実験を行った結果,べンチスケールでの結果を再現でき,D形晶を含まないC形晶を製造することができた.
著者
中村 隆志 河合 伸高 町谷 晃司 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.618-623, 1997-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
6

イミダゾール体をエタノール水溶液中で, L-10-カンファースルホン酸と塩を形成させて光学分割する際に, 最少量の溶媒から両異性体の塩を結晶として充分析出させた後に, 少量の溶媒を徐々に添加して不要の異性体を優先的に溶解させる光学分割法を見い出した. 溶媒の添加方法にはよらず, 溶媒量により光学純度・収率が決定され, 溶解度から推算した値と一致した. 従来の冷却晶析法と比べ, 安定した収率 (50%) ・光学純度 (97%) で (+) イミダゾール体が得られ, 単位体積当たりの撹拌所要動力をスケールアップ因子として, 1,700l晶析槽で実験を行い, 1lスケールでの実験結果が再現できた.