著者
常盤 嘉一 倉田 彰 宮坂 佳男 橘 滋国 矢田 賢三 大和田 隆 菅 信一 向野 和雄 高木 宏
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.128-132, 1993
被引用文献数
2

視野障害をきたす特徴的な水頭症の所見を得るために,後頭蓋窩腫瘍にて閉塞性水頭症をきたした28例の画像を検討した.視野障害群(n=6)と視野正常群(n=22)で,計測を含めたCTの検討を行った.第3脳室幅の著明な拡張と,同脳室の著明な下方進展が視野障害をきたす特徴的な所見であった.すなわち,両群間で,側脳室の拡大の程度に有意差はなかった.視野障害群では第3脳室幅(平均12 mm)が有意に嵩値を示した.また第3脳室の著明な下万伸展(トルコ鞍内への陥入)例が視野障害群(4/6例)で有意に多かった. MRIは2例中1例で視交叉と第3脳室および内頚動脈との関係を明瞭に描出した.今後,視野障害の責任病変の把握に有用となることが期待された.
著者
岡 秀宏 川野 信之 諏訪 知也 矢田 賢三
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.324-328, 1994-07-20
被引用文献数
1

われわれは,稀な症候性ラトケ裂嚢胞を7例経験し,それらの罹病期間と神経症状,内分泌症状および画像所見について検討した.平均年齢は46.1歳で,性別は女性が4例,男性が3例であった.臨床症状は,頭痛6例,視力・視野障害4例,下垂体機能低下を認めたもの3例であった.視力・視野障害や下垂体機能低下症状は罹病期間の長い症例に認められる傾向にあった.術前の視力・視野検査では視力・視野の異常を認めたものが5例であった.術前の内分泌検査の基礎値は,高プロラクチン血症が4例,ADHの低下が1例,部分あるいは全般的に基礎値の低下したものは2例のみに認められ,罹病期間の長い症例ほど下垂体ホルモン異常をきたしやすい傾回にあった.画像所見は,CTで等〜高吸収域を示すものが多く,MRIでは嚢胞の大きい症例ほどT_1強調画像で高信号を呈する傾向にあった.以上の結果から,罹病期間が長い症例ほど視力・視野障害および下垂体機能低下症状をきたしやすい傾向にあったことを考えると,臨床症状を有し,画像上でラトケ裂嚢胞が考えられる場合は,早期に手術操作を加え,嚢胞の開放を施行することが必要と考える.