- 著者
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矢田部 浩平
- 出版者
- 一般社団法人 電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.1, pp.25-36, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
- 参考文献数
- 124
位相復元は,複素数として表現されたデータの絶対値のみから,元の複素信号を復元する技術である.絶対値を取ることによって失われるのは偏角の情報なので,偏角を復元すれば元の信号を得ることができる.複素信号の偏角は位相とも呼ばれるので,位相復元という名前がついている.位相復元は,光学分野では位相回復と呼ばれて古くから研究されており,そのため光学計測に則った問題設定や手法が中心的に研究されている.一方,音響信号処理においても位相復元が研究されているが,光学分野とは前提が異なるので,音響信号に対する特別な手法も考えられている.本稿では,前半で光学分野も含めた歴史的背景や一般の位相復元手法について概説した後に,後半で音響信号処理における位相復元についても述べる.特に,音響信号の短時間Fourier変換に基づく時間周波数領域の位相復元を扱う.