著者
岩佐 知子 菅沼 一男 知念 紗嘉 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-26, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

〔目的〕中学生野球選手が青少年の野球障害に対する提言での上限である70球投を投げることによる投球前後の肩関節機能の変化について検討した。〔対象〕中学生野球クラブチームに所属する男性投手10名であった。〔方法〕投球前後に投球側の肩関節内旋可動域および肩関節内外旋筋力,疲労度,球速の測定を行った。投球は実践投球を意識しストレートと変化球を合わせた計70球とした。投球前後の肩関節内旋可動域および肩関節内外旋筋力,疲労度については,対応のあるt検定を用い,球速については1元配置の分散分析を用いて分析を行った。〔結果〕肩関節内旋可動域は投球後に可動域が有意に減少した。肩関節内外旋筋力は投球前後において筋力に差が認められなかった。肩関節の疲労度は,投球前後において有意に増加したが,球速については差が認められなかった。〔結語〕高校生を対象とした報告と同様に投球後は肩関節内旋可動域が低下し,肩関節内外旋筋力は差が見られなかった。したがって,投球練習後は肩関節外旋筋のストレッチを行う必要があると考えられた。
著者
榊原 僚子 加藤 宗規 菅沼 一男 芹田 透 知念 紗嘉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.473-479, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
12

〔目的〕股関節痛と歩行困難を呈していた症例に対して,応用行動分析学に基づいた介入を行った結果について検討すること。〔対象〕両側変形性股関節症による股関節痛の増強により歩行不可能となり他院での4ヶ月の入院後,当院での外来通院を開始した52歳女性であった。〔方法〕1日で歩行した歩数(歩行量),歩行時痛についてベースライン測定後に行動分析を行い,規定した目標歩行量の遵守と自己記録を行動とした介入を設定した。介入の有効性について,1セッションが約3ヶ月間の7セッションの経過における歩行量,歩行時痛,使用する歩行補助具から検討した。〔結果〕行動は継続され,歩行量のばらつきと歩行時痛が減少し,歩行補助具は両松葉杖からT字杖に変化した。[結語]応用行動分析学を用いた今回の介入は,変形性股関節症で慢性的な強い歩行時痛を有していた症例に対して,理学療法士による1日の歩数を制限する指導を長期にわたり遵守させ,痛みと歩行能力の改善に影響したと考えられた。