- 著者
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石坂 信也
渡辺 一徳
高田 英樹
- 出版者
- 日本第四紀学会
- 雑誌
- 第四紀研究 (ISSN:04182642)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.2, pp.91-99, 1992-05-30 (Released:2009-08-21)
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
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熊本平野とその周辺には多くの活断層が存在することが知られている. 筆者らは, 熊本平野やその周辺に掘られた多数のボーリングの中で重要なもの50本余りのコアを, 改めて詳細に観察した. ボーリングコアには, 約6,300年前に鬼界カルデラから噴出したアカホヤ火山灰, 約30万年前以降に阿蘇カルデラから噴出したAso-1~Aso-4火砕流堆積物などの重要な鍵層が認められる. それらの放射年代と深度の差異から, 熊本平野における最近の約15万年前以降の第四紀層の沈降速度を見積もることができた. 平野南部での平均沈降速度はおよそ0.2~0.5mm/年であり, そこは, 熊本平野の周辺で確認されていた活断層による木山-嘉島地溝 (渡辺ほか, 1979) およびその西方延長部にあたる. 平野西部での沈降速度はおよそ0.2~0.3mm/年である. これらの沈降は, 熊本平野地下の活断層の動きによって引き起こされていると考えられる.