著者
徳田 和宏 石垣 賢和 竹林 崇
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.673-688, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
16
被引用文献数
2

要旨:上肢機能障害へのエビデンスの多くは,生活期を対象者とするものが多く,急性期においてもエビデンスレベルの高い研究が望まれるが,急性期の時期に比較試験を行うことは容易ではない.今回,脳卒中後上肢麻痺において,定期的な評価データを後方視的に抽出し傾向スコアの算出からデータプールを構築した.データプールの構築は,急性期において課題とされる対照群を設定することができ,本研究データを多くの施設が共有することで,既存の介入や新たな介入成果について検討できると考えられる.本データの使用例として,今回の対象期間に病棟実施型CI療法を実施した群を介入群とし,傾向スコアマッチングを行った.その結果についても検討したので報告する.
著者
石垣 賢和 竹林 崇 前田 尚賜 髙橋 佑弥
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.689-703, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
18

要旨:エビデンスレベルの高い介入研究を実施するためには,対照群を設定する必要があるが倫理的に容易ではない.本研究では,一般臨床のデータを後方視的に抽出することにより,214名の脳卒中後上肢麻痺における回復期の傾向スコア算出のためのデータプールを構築した.データの使用例として,過去に著者らが実施した,対照群を用いない前後比較試験のデータを介入群とした傾向スコアマッチングを行った結果についても併せて報告する.本研究のデータを多くの研究者や臨床家が対照群として使用することにより,臨床研究の質向上に貢献できると考える.
著者
髙橋 佑弥 竹林 崇 石垣 賢和
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.486-494, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
13

要旨:Hybrid Assistive Neuromuscular Dynamic Stimulation therapy(以下,HANDS療法)は,脳卒中後上肢麻痺の末梢部の機能改善に効果が示されている.一方で,日常生活における麻痺手の使用行動および中枢部の機能改善は課題であった.今回,回復期の1症例に具体的な課題のスキル向上を目的とした課題指向型訓練,麻痺手の使用行動に有効とされている簡略化したTransfer Package,中枢部の機能改善に有効とされているロボット療法を,HANDS療法と複合して実施した.結果,Fugl-Meyer AssessmentとMotor Active Logが臨床上意味のある最小変化量を超える改善を示し,希望していた食事動作が獲得されたため後方視的に検証し,考察を合わせて報告する.
著者
石垣 賢和 竹林 崇 前田 尚賜 久保木 康人 高橋 佑弥
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.575-584, 2019-10-15 (Released:2019-10-15)
参考文献数
18

回復期の脳卒中後上肢片麻痺者に対し,15日間のロボット療法の効果検証を行った.対象は,2015年6月から2018年8月の期間に当院に入院した,初発の脳卒中後上肢片麻痺者のうち,15日間のロボット療法を実施した群(介入群)と,1ヵ月間の通常訓練を実施した群(対照群)とした.方法は,介入群と対照群で傾向スコアマッチングを実施し,Fugl-Meyer Assessment(以下,FMA)肩・肘・前腕の変化量を比較した.結果は,介入群36名,対照群62名で,22ペアがマッチングされた.FMA肩・肘・前腕の変化量は,介入群が対照群に比べ有意に改善を示した.ロボット療法を用いた介入は,効率的に回復期の脳卒中患者の上肢機能を改善させる可能性がある.