- 著者
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石川 みち子
- 出版者
- 千葉県立衛生短期大学
- 雑誌
- 千葉県立衛生短期大学紀要 (ISSN:02885034)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.2, pp.65-71, 1984
ウィーデンバックは「看護婦が看護をしているときに感じたり,考えたりしていることは重要であり,それは看護婦が何をするかということだけでなく,それをどのように行うかということに密接な関係がある」と述べ,「考えたり,感じたりすることは,もし看護婦がそれらを重んじるならば重要な手段として役立てることができる」と指摘している。そして,自分が行った看護をふりかえり,反省し,洞察をうる学習手段としてウィーデンバックぱ再構成をあげている。看護は患者との相互関係のなかで展開されていくものであるから,もし学生が,ウィーデンバックが指摘していることを,体験をとおして自覚できるなら,学生は患者との相互関係のなかで自分が感じたり,考えたりしたことを活用しようと動機づけられよう。そこで私は,ウィーデンバックの理論をもとに,人の成長の出発点といわれている現実を直視することを教育の一方法として試みようと考えた。対象の学生は第1看護学科3年生全員(75名)で,各実習グループ毎に看護場面の再構成を用いて,学生1人1人が行ってきた看護場面をグループでふりかえる体験学習である。この体験学習のねらいは,学生が患者との相互関係のなかで自分が何を感じ,考えたか,それぱ自分の行為にどのように影響していたかを知ることである。それが自分自身が行った看護を吟味することになると考えるからである。今回は,この試みの実践の一例として学生Yのグループワークを遂語録にして考察したので報告する。