著者
中澤 毅 大畑 尚子 石塚 貴紀 高田 萌々 小松 泰生 直海 玲 石川 裕子 諸井 明仁 大橋 容子 高橋 慶行 橋口 幹夫 青柳 藍 源川 隆一
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.96-100, 2020 (Released:2020-05-13)
参考文献数
12

目的:2018年に沖縄県を訪れた外国人観光客は290万人と過去最高を更新している.これに伴い当院救急室を受診する外国人旅行者妊婦も増加している.今回当院を受診した外国人旅行者妊婦症例の実際に対応した際の特徴や問題点・今後の課題について検討した. 対象および方法:2014年1月1日から2018年12月31日の5年間に当院救急室を受診した外国人旅行者妊婦の診療録を後方視的に検討した. 結果:当該期間に受診した外国人旅行者妊婦は37例だった.多くは軽症だが,入院・分娩の症例も存在し入院費は母児を含めて300万円前後であった.また異なる言語・文化・保険システムが現場対応となる事も多く診療・治療に支障となる事例が確認された. 考察:外国人旅行者妊婦症例は増加しており緊急の対応が必要となる場合もある.限られた医療資源の中で対応の難しい症例もあり,今後の環境整備が重要だと考えられた.
著者
石川 裕子 米澤 大輔 葭原 明弘 齊藤 一誠 早崎 治明
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.338-343, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
13

本研究の目的は,知的障害者施設における利用者に対して,在所期間から知的障害者の口腔および支援の状態について検討することである.歯科診療室が併設されている「N知的障害者総合援護施設」利用者77名を対象とし,利用者の口腔内状態および口腔管理の支援状態を調査した. その結果,利用者の平均年齢は47.0 ± 12.7歳(無回答2名),在所期間は0~9年が24名,10~19年が41名,20年以上が12名であった.在所期間10~19年では,0 ~9年より障害支援区分の重い人が多く統計的に有意な差があった.口腔内状態は,未処置歯所有率が在所期間20年以上で8.3%と低く有意な差がみられた.施設には歯科の設備があるにも関わらず,在所期間0~9年および10~19年で未処置歯所有率が高く,今後,フッ化物塗布などのう蝕予防の実施が必要と考えられた.食事形態,食事時間については在所期間別で有意な差はみられなかった.嚥下および歯磨き支援については,支援必要者と不要者では在所期間別で有意な差があり,在所期間が長くなると支援の必要者の割合が多く,支援の必要性が高いと考えられた.また,現在,特に嚥下検査を行っていないことから,今後,専門医による検査を在所期間に関係なく全員に実施するとともに,食事介助の見直しが必要と考えられた.