著者
石田 欽一 志賀 一三
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.117-121, 1972-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
2

乾燥寒天ゼリーの製造過程で,ゼリー原料の濃縮液を冷却,固化する工程の冷却温度条件を検討するため,冷却温度がゼリーの物性に及ぼす影響について調べた。(1) 10℃, 20℃および30℃の各温度で冷却したときのゼリーの破壊荷重の経時的変化を調べ,冷却の温度が低いほどゼリーの破壊荷重が一定値になる時間が早い。しかし,冷却29時間後のゼリーの破壊荷重は冷却温度30℃のゼリーが一番大きく,次いで20℃冷却のゼリーが,そして,10℃冷却のゼリーの破壊荷重が一番小さかった。(2) 冷却の途中で冷却温度を変える変温冷却方式について調べたところ,30℃に一定時間保ち,その後,20℃あるいは10℃に変温したゼリーは,定温で冷却したゼリーよりも破壊荷重の大きいゼリーとなる。一方,はじめに,10℃に保ち,その後20℃に変温したゼリーは,破壊荷重が小さく,冷却初期に10℃に保つことは好ましくない。また,冷却の初期に40℃に保ったときの影響についても調べ,40℃に保つ時間が長くなるに従い,ゼリーの破壊荷重は低下し,あまり高い温度にゼリーを保つこともまた,よくないことを知った。
著者
石田 欽一 岡田 安司 小山 吉人
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.109-115, 1968
被引用文献数
1

甜菜グラニュ糖および精製グラニュ糖を用いて,乾燥ゼリーを実験室的規模で試作し,その性状を調べた。<BR>(1) 生ゼリーの乾燥性は,甜菜グラニュ糖区のほうが良好であった。<BR>(2) 乾燥ゼリーの吸湿性は精製グラニュ糖区のほうがやや大きい傾向にあった。<BR>(3) 色素に及ぼす影響は,砂糖溶液の場合甜菜グラニュ糖区のほうが色素の安定性が良好であった。<BR>(4) 色素の安定性は赤色2号については,砂糖濃度が大きく関与し,砂糖濃度が高くなるに従って安定性が悪くなった.<BR>(5) 煮つめ状態,生ゼリーおよび乾燥ゼリーの物理的性質については,両試験区ともほとんど差が認められなかった。<BR>(6) 乾燥ゼリーの製造において,生ゼリーの乾燥速度は含水率の減少とともに急速に低下すること,また寒天濃度が乾燥ゼリーの見掛け粘度に関与し,寒天濃度が高いと見掛け粘度が大きくなることを認めた。