著者
石郷岡 旭 山本 利春 笠原 政志
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.125-132, 2017-03-31 (Released:2019-05-27)
参考文献数
15
被引用文献数
3

運動部活動におけるスポーツトレーナー(以下:トレーナー)介入の実態を調査するため,高等学校の部活動指導者814名に質問紙調査を行った(回収率34%).その結果,多くの指導者がスポーツ傷害への対応に困っており,それらの対応や予防を期待し,トレーナーの介入を望んでいたが,トレーナーの介入率は32%と少なかった.トレーナーが介入している部活動では,競技成績の向上や怪我の減少等の介入効果を実感している指導者が多いことが明らかとなった.トレーナーの介入を実施していない部活動では,金銭面や指導者のトレーナーに対する認識不足が,介入に至らない原因と考えられ,高等学校運動部活動へのトレーナーの介入には,これらの問題点についての検討が必要であることが推察された.
著者
石郷岡 旭 山本 利春
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.280_3-280_3, 2016

<p> 高等学校における運動部活動の指導は、教育課程外に位置づけられており、指導方法を十分に学んでいない学校教員が指導していることも多いことから、頻発するスポーツ傷害に対する指導や対応も十分でないと考えられる。本研究では、これらの現状を調査し、運動部活動におけるスポーツ傷害を軽減するための課題について検討することを目的とした。対象は、負傷件数、部活動数、部員数が多い上位3競技(野球、サッカー、バスケットボール)のいずれかを指導している高等学校の教員814名を対象とし、278名からの回答を得た。調査方法は郵送調査法を用いた。その結果、スポーツ傷害の対応について「困っている」という回答が非常に多く、特に怪我人のリハビリ等、専門的な知識が必要な項目において「困っている」という教員が多かった。このことから、教員のスポーツ傷害等に関する知識、技術の習得のみではなく、スポーツトレーナーのようなスポーツ医・科学の専門家を運動部活動下に配置することも必要であると考える。本研究で明らかになった実態を国や行政、スポーツトレーナー等、多くの方々に認知していただき、運動部活動におけるスポーツ傷害予防の環境づくりにつなげたい。</p>