著者
荒川 浩久 大澤 多恵子 中野 貴史 堀 穣 荒川 勇喜 川村 和章 宋 文群 中向井 政子 石田 直子 石黒 梓
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.35-42, 2015-01-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
16

歯科診療所におけるフッ化物局所塗布に関する質問紙調査を実施し,244名から回答を得た(回収率14.6%).別の対象で実施した前回調査との比較,ならびに2年5か月前に静岡県歯科医師会会員を対象に実施した同様な調査との比較を行った. フッ化物局所塗布を小児に実施しているのは89.0%,成人および高齢者は52.4%と前回調査ならびに2年5か月前の同様な調査より増加したものの,成人期以降の実施率は低く,乳幼児期から高齢期まで生涯を通じてのフッ化物応用の必要性をさらに周知し,実践していくことが必要である.また,使用している塗布剤の中に,生産中止から3年以上経過しているものやフッ化物配合歯磨剤等があり,院内における医薬品管理の徹底が必要である. 小児へのフッ化物局所塗布の診療報酬の請求方法では,「フッ化物局所塗布の診療費の請求をしない」が59.5%で最も多く,「自由診療として請求する」が43.7%,「う蝕多発傾向者として保険で請求する」が14.0%,「C選療として請求する」が1.9%であり,本保険制度は利用しづらい状況にあった.フッ化物局所塗布のカルテへの記載について「診療費の請求はしない(無料サービス)ので記載しない」が28.4%あったが,医療行為であるため,カルテにその内容を記載することは必須である. 平成26年4月からう蝕多発傾向者の基準が半分以下に改正されたことから,今後の利用増加が期待される.
著者
石黒 梓 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017 (Released:2017-08-08)
参考文献数
22

健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである. 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した. 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった. 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.
著者
石黒 梓 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017

<p> 健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである.</p><p> 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した.</p><p> 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった.</p><p> 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.</p>