著者
石黒 梓 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017 (Released:2017-08-08)
参考文献数
22

健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである. 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した. 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった. 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.
著者
石黒 梓 荒川 勇喜 田中 元女 鈴木 幸江 荒川 浩久 川村 和章 石田 直子 神谷 美也子 中向井 政子 晴佐久 悟 田浦 勝彦 広川 晃司 串田 守
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.190-195, 2017

<p> 健康日本21(第2次)に歯・口腔の健康目標が示され,歯・口腔の健康が健康寿命の延伸と健康格差の縮小に寄与することが期待されている.学校保健教育は生涯を通じた口腔保健の取り組みの土台をなすものである.</p><p> 本研究では,今後の子どもたちの保健教育の改善を目的に,平成28年度に使用されている小学校から高等学校の学習指導要領,学習指導要領解説および学校で使用されているすべての保健学習用教科書を資料に,口腔関連の記載内容を調査し,「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の歯科疾患の予防計画の学齢期の内容と照合した.</p><p> 小学校では大半が「むし歯」と「歯周病」に関する原因と予防について記載されていたが,フッ化物応用,シーラント,定期的な歯科検診の記載はほとんどなかった.中学校では「むし歯」と「歯周病」の記載はほとんどなく,「口腔がん」や「歯と栄養素」,水道法基準として「フッ素」の記載に変化していた.高等学校になると「むし歯」に関する記載はまったくなく,「歯周病」や「口腔がん」の記載が中心であったが,歯口清掃に関する記載はなかった.</p><p> 現在の小・中学校および高等学校で使用されている保健学習用教科書は,「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」の学齢期に示されている保健指導,う蝕予防,歯周病予防に関連する記載内容は不十分であり,学習指導要領を見直すとともに,子どもの発達に応じた表現で収載することを提言する.</p>
著者
相田 潤 田浦 勝彦 荒川 浩久 小林 清吾 飯島 洋一 磯崎 篤則 井下 英二 八木 稔 眞木 吉信
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.362-369, 2015-07-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
13

歯科医師法では公衆衛生の向上および増進が明記されており,予防歯科学・口腔衛生学は歯科分野で公衆衛生教育の中心を担う.またう蝕は減少しているが,現在でも有病率や健康格差が大きく公衆衛生的対応が求められ,近年の政策や条例にフッ化物応用が明記されつつある.根面う蝕対策としてフッ化物塗布が保険収載されるなど利用が広がる一方で非科学的な反対論も存在するため,適切な知識を有する歯科医師の養成が求められる.そこで各大学の予防歯科学・口腔衛生学,フッ化物に関する教育の実態を把握するために,日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会は,1998年に引き続き2011年9月に全国の29歯科大学・歯学部を対象に質問票調査を行った.結果,予防歯科学・口腔衛生学の教育時間の大学間の最大差は,講義で8,340分,基礎実習で2,580分,臨床実習で5,400分となっていた.フッ化物に関する教育の時間も大学間によって講義で最大540分,基礎実習で280分,臨床実習は510分の差異があり臨床実習は実施していない大学も存在した.さらに1998年調査と比較して,教育時間や実習実施大学が減少しており,特に予防歯科学・口腔衛生学の臨床実習は1,319分も減少していた.また非科学的なフッ化物への反対論への対応など実践的な教育を行っている大学は少なかった.予防歯科学・口腔衛生学およびフッ化物応用に関する講義や実習の減少が認められたことから,これらの時間および内容の拡充が望まれる.
著者
小澤 雄樹 岩倉 政城 田浦 勝彦 押切 邦中 坂本 征三郎
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.678-684, 1998-10-30
被引用文献数
8

某健康保険組合支部が運営している歯科診療室において,被保険者本人に対する歯科保健活動を行った。本研究の歯科保健活動内容は,歯科検診,歯科保健指導,歯科処置,歯科治療の一般開業医への依頼である。歯科検診として質問紙調査,口腔内写真撮影,硬組織検査,WHOのCPITNの評価, O'Learyらのplaque control record(PCR)の評価を行った。歯科保健指導として歯口清掃指導を行った。歯科処置としては,主にスケーリング,ルートプレーニングを中心とした歯両疾患の基本処置と初期う蝕の充填処置を行った。 歯科保健活動導入前後の歯科診療報酬請求件数と請求点数を集計した。また,同じ健康保険組合で歯科保健活動を行っていない隣接した地域での被保険者群を対照とし,同様の集計を行い統計学的に差の検定をした。 その結果,以下の知見が得られた。1.被保険者1人あたりの診療報酬請求件数と請求点数は,歯科保健活動を始めると一時的に増加するが,2から3年目になると歯科保健活動を行っていない対照群よりも統計学的有意に低くなった。2.被保険者1人あたりの累積診療報酬請求件数と累積請求点数の増加率は,歯科保健活動開始後,対照群より統計学的有意に小さくなった
著者
井川 恭子 田浦 勝彦 楠本 雅子 千葉 順子 針生 ひろみ 小関 健由
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.554-563, 2003-10-30
被引用文献数
3

フッ化物配合歯磨剤の利用状況を把握し,う蝕予防に効果的な使用を推進するため,宮城県内の1〜3歳児,4〜5歳児,学童と彼らの保護者ならびに高等専門学校生の計2,188名(1〜56歳)を対象に質問紙調査を行った.「いつも歯磨剤を使用している」者は全体の66.2%で,そのうちフッ化物配合歯磨剤使用者の割合は,1〜3歳児で13.4%,4〜5歳児で34.0%,学童で52.3%,高等専門学校生で55.3%であり,保護者では66.5%であった.すべての群におけるフッ化物配合歯磨剤の使用率は,現状の同市場占有率より低かった.また,増齢とともに歯磨剤の1回使用量が増加し,歯磨き後の洗口回数も増加した.歯磨剤選択理由については「う蝕予防」が第1位,「フッ化物配合」が第2位と多かったが,1〜3歳児の使用していない理由は「誤嚥の心配」が第1位であった.今後の歯の健康づくりのためには,年齢を問わず,フッ化物配合歯磨剤をWHOに推奨されている適量を適切に使用することが望ましい.また,う蝕予防を推進するために,フッ化物配合歯磨剤の効果的利用に関する普及啓発の必要性が示唆された.