著者
磯崎 育男
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.227-233, 2006-02-28

本論文は,前回の紀要論文で展開した,より現実主義的な合意形成学習の方向性を,アメリカにおけるNational Issues Forumsのモデルに見出そうとする試みである。わが国の合意形成学習は,これまでディベートを基本として展開してきたといってよいが,それでは,授業展開において対立から和解への相反した指示になってしまうとともに,政策選択肢の柔軟な発想が抑えられてしまう可能性が高い。また,問題をどう捉えるかという視点が政策案を形成する場合,重要であるが,ディベート形式ではそれが深められない難点がある。本論文では,そのような問題を解決するためデリバレーションという概念に基づき,その代替的アプローチをNational Issues Forumsのプログラム,具体的には,人々が熟議し,議論する仕組みを多様なレベルで構成し,知識習得のみならず,態度形成につなげていこうとしているモデルを説明し,その効用等について議論している。
著者
磯崎 育男
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第1部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.163-196, 1994-02-28

前章でみたように,主要国の行動,ポジションは,ラウンドの経過とともに,歩み寄りの方向で若干の変化がみられるが,いくつかの点で大きな隔たりもみられる。具体的には,(1)農業の国境調整措置,(2)輸出補助金,(3)国内支持,(4)交渉方法,(5)ガット・ルール問題,(6)動・植物の検疫制度において,それらのリンケージをからめ,濃淡を含めた対立がみられるが,ここでは特に前三者に関し個別に対立点等を整理してみよう。第一に,農業の国境調整措置では,アメリカが関税化を,ECが関税化を認めつつも,国境調整を存続させるリバランシングを提案している。ケアンズ・グループは,カナダがガット11条2項Cの存続を主張し,戦線を離れたものの,アメリカ案に近い提案となっている。一方,日本は,輸入数量制限を行っている品目についてアクセスを考慮しつつも,食糧安全保障論に基づき,例外措置を認めさせようとしている。次いで,輸入補助金に関しては,アメリカが相当程度の削減(10年間で90%以上)を農業保護の廃止を条件に主張しているのに対し,EC,日本とも漸進的削減,ケアンズ・グループは最終的に撤廃を含め一定期間内の削減をうたっている。第三の国内支持については,アメリカが最も貿易歪曲的な政策については10年間で75%以上,その他の貿易歪曲的な政策は30%以上の削減であり,EC及び日本は,わずかな削減(ECは支持総体の削減を考慮),ケアンズ・グループは,カナダの異論はあるもののアメリカ案に近い。ところで,ラウンドの中途で出されたドゼウ案,ヘルストローム案,ドンケル案が,どの提案に近いかを考察すると,全体として,さまざまな案の妥協の産物であるが,アメリカ案に近いことがわかる。国際貿易テクノクラート達の自由主義志向の強さが反映しているといってよい。この他に,北欧米,スイス案,オーストリア案も出されたが,ヨーロッパ経済地域(EEA)で,1991年からEFTAとECとの結合が図られてきており,EC寄りヘスタンスを変えてきている。韓国案は,非常に日本案に近いものとなっている。以上,ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の構図を概観したが,このゲームは「過剰農産物の負担を誰に,どのようにおしつけるかという"ババ抜き"ゲーム」(佐伯)であるとともに,世界的視野を失った国益中心の交渉であると概括できよう。
著者
磯崎 育男
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.259-265, 2011-03

本論は,わが国における,政治教育を中心とする社会科教育の実態を概観するとともに,欧米の政治教育を瞥見し,わが国の問題点を捉えたうえで,今後の政治教育の方向性を示すものとしての政策中心学習を構想し,その意義等について考察している。
著者
磯崎 育男
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.259-265, 2011-03

本論は,わが国における,政治教育を中心とする社会科教育の実態を概観するとともに,欧米の政治教育を瞥見し,わが国の問題点を捉えたうえで,今後の政治教育の方向性を示すものとしての政策中心学習を構想し,その意義等について考察している。