著者
礒村 公郎 杉山 英男
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.626-634, 1999-10-15 (Released:2011-03-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1 2

兵庫県下の河川水および水道水のウラン濃度を調べた。県内大部分の地域で河川水のウラン濃度は検出限界0.02μg/kg以下であったが, 六甲山周辺および淡路島北部でウラン濃度の高い河川水が認められ, さらにウラン濃度とフッ素濃度には有意な相関が認められた。ウラン濃度の高い河川の分布する地域は六甲花崗岩および領家花崗岩の分布する地域と一致した。河川水のウラン濃度の高い原因は六甲花崗岩および領家花崗岩の地下水によると推定された。水道水の摂取に伴うウランによる年実効線量当量は, 過去には最高で1.5μSv/年 (1996年神戸市兵庫区) と推定されたが, その後ウラン濃度は減少し, 1997年12月以降は厚生省の指針値 (0.002mg/L) の半分以下で, 年実効線量当量は0.3μSv/年以下で推移している。
著者
礒村 公郎 樋口 正信 柴田 尚 塚田 祥文 岩島 清 杉山 英男
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.157-163, 1993-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

日本国内の数か所で採取した蘚苔類中の134Cs, 137Cs, 7Be および40Kを測定した結果, 55試料すべてから137Cs, 7Beおよび40Kが検出され, 134Csは33試料から検出された。蘚苔類中の134Cs/137Cs放射能濃度比は平均0.057±0.026でチェルノブイリ事故時の134Cs/137Cs放出比から算出した採取時の存在比 (0.10) に比べて小さく, 核実験等のチェルノブイリ事故以外の137Csを含んでいることが示唆された。蘚苔類中の134Cs, 137Cs濃度は採取地点の標高と正の相関が認められた。成長年次が明瞭で各年ごとに成長した植物体を容易に分離できるイワダレゴケを試料として, 成長年別にイワダレゴケ中の放射性セシウムを測定した結果, 137Csは古い葉ほど濃度が高く, 134Csは1986, 1987, 1988年にのみ検出され, 過去数年にわたる放射性セシウムの蓄積傾向を把握することが可能であることが示唆された。
著者
宇野 泰章 寺西 清 礒村 公郎
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
鉱物学雜誌 (ISSN:04541146)
巻号頁・発行日
vol.19, no.Special, pp.63-70, 1990-03-26 (Released:2009-08-11)
参考文献数
10

The mode of occurrence of clay minerals and the interaction between hot waters and wall rocks in Arima and Takarazuka have been investigated by X-ray powder diffraction, microscopic observation and chemical analysis. The alteration halo can be divided into three zones, such as, zone I (chlorite-mica zone), zone II (silica zone) and zone III (mica-kaolinite zone). Low, medium and high-temperature waters are mainly located in zone I, II and III respectively. Calcite veinlets are present in drilling cores of zone I and II. The pH values of hot waters in zone II calculated on the basis of the calcite-brine equilibrium equations are higher than those in zone I. Partial CO2 pressure of hot waters are almost constant, indicating a 3.8 atmospheric pressure in zone I, and a 4.9 atmospheric pressure in zone II. The most important factor controlling the chemical composition of hot waters seems to be the calcite-brine equilibrium in wall rocks.