著者
濱尾 章二 樋口 正信 神保 宇嗣 前藤 薫 古木 香名
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.37-42, 2016 (Released:2016-05-28)
参考文献数
21
被引用文献数
5

シジュウカラ Parus minor の巣材47営巣分から,巣材のコケ植物と発生する昆虫を調査した.巣材として21種のコケが使われており,特定のコケを選択的に用いる傾向があった.巣材から,同定不能のものを含め7種のガ成虫が発生した.巣立ちが起きた巣でガが発生しやすい傾向があり,一因として雛の羽鞘屑が幼虫の餌となることが考えられた.巣立ち後野外に長期間置いた巣で,ケラチン食のガが発生しやすい傾向があり,巣の使用後にガ成虫が訪れ産卵することが示唆された.さらにガに寄生するハチが見いだされた.シジュウカラの営巣はこれらの昆虫にとって繁殖可能な環境を作り出していることが示された.
著者
礒村 公郎 樋口 正信 柴田 尚 塚田 祥文 岩島 清 杉山 英男
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.157-163, 1993-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

日本国内の数か所で採取した蘚苔類中の134Cs, 137Cs, 7Be および40Kを測定した結果, 55試料すべてから137Cs, 7Beおよび40Kが検出され, 134Csは33試料から検出された。蘚苔類中の134Cs/137Cs放射能濃度比は平均0.057±0.026でチェルノブイリ事故時の134Cs/137Cs放出比から算出した採取時の存在比 (0.10) に比べて小さく, 核実験等のチェルノブイリ事故以外の137Csを含んでいることが示唆された。蘚苔類中の134Cs, 137Cs濃度は採取地点の標高と正の相関が認められた。成長年次が明瞭で各年ごとに成長した植物体を容易に分離できるイワダレゴケを試料として, 成長年別にイワダレゴケ中の放射性セシウムを測定した結果, 137Csは古い葉ほど濃度が高く, 134Csは1986, 1987, 1988年にのみ検出され, 過去数年にわたる放射性セシウムの蓄積傾向を把握することが可能であることが示唆された。
著者
樋口 正信 有川 智己
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.8, no.12, pp.400-401, 2005-07
参考文献数
5
被引用文献数
3
著者
新居 加恵子 樋口 正信 浅川 義範
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.365-366, 2013 (Released:2018-07-03)

Takakia lepidozioides contains pleasant scent. The aroma components of Takakia lepidozioides were analyzed by GC/MS and NMR to reveal the existence of coumarin (1) as a major component, which is the key odorant of this species. This is the first report of the presence of coumarin in bryophytes.
著者
西村 直樹 樋口 正信
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
日本蘚苔類学会会報 (ISSN:02850869)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.98-99, 1994-08-25

最近,私達は"パキスタンの蘚類のチェックリスト"を発表したが,その時,北西ヒマラヤからの16種の頂生性蘚類の新種を扱ったDixon(1942)の論文を参照することができなかった.この度,英国のD.G.Long氏の好意により,その論文を見ることができ,ホウオウゴケ属の1種(Fissidens brevidorsus)とセンボンゴケ科の1種(Rhamphidium laticuspe)がパキスタン産蘚類のチェックリストに加わることが分かった.また,英国のC.C,Townsend氏はパキスタンで採集した標本に基づき,40種の蘚類を,最近報告した.その報告を検討したところ,新たに8種がパキスタン産蘚類のチェックリストに加わることが分かった.この結果,パキスタンの蘚類相は32科,122属,334種になった.
著者
井上 正鉄 樋口 正信 古木 達郎
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.9, no.9, pp.304-305, 2008-11
参考文献数
5
著者
樋口 正信 古木 達郎
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.89-124, 2000
被引用文献数
2
著者
高野 信也 杉村 康司 樋口 正信
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.8, no.10, pp.319-320, 2004-11
被引用文献数
4
著者
樋口 正信
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1.野外調査以下の地域で野外調査を実施した。祖母山、屋久島、剣山(13年度);白山、中国哀牢山(14年度);北海道、八ヶ岳(15年度);北海道、台湾東部(16年度)。生育状況と生育環境を記録し、資料を収集した。資料は乾燥標本として、また一部は冷凍保存した。2.研究成果(1)高山性コケ植物相東ヒマラヤと雲南省のハイゴケ科の新しい分布情報を確認した。東アジアの生物相の中心をなす日華区系区の西端にあたるパキスタン産蘇類のチェックリストを作成し、植物地理学的解析を行った。東アジアの高山域に分布の中心をもつナンジャモンジャゴケを栃木県において、高山性の稀産種であるイシヅチゴケを北海道東部で確認した。台湾と日本の蘇類全種の記録を比較検討した結果、両地域の高山域には周北極要素のほか、中国西南部との共通要素が特徴的に見られることが明らかになった。(2)高山性コケ植物の種分化中国雲南省の高地で得られた資料がラッコゴケ属の新種であることを見出した。中国西南部が本属の種分化の中心であることを確認した。分子系統解析の結果、エゾノヒラツボゴケ属はサナダゴケ科に所属し、サナダゴケ科はサナダゴケ属と本属の2属からなること、中国と台湾の高地に分布する蘇類の単型属Giraldiellaは、ハイゴケ科に属し、キヌゴケ属のPylaisia falcataと近縁であること、ブータン、中国西南部、台湾の高地に知られ、最近日本から報告した単型属Neodolichomitraは、イワダレゴケ科に属することなどが支持された。ナンジャモンジャゴケを台湾から新たに発見し、日本、台湾、ボルネオの集団間には遺伝的差異が見られないことを確認した。さらに、他の薩類では喪失したと考えられる葉緑体ゲノムを本種から確認した。これはコケ植物の古いタイプが東アジアの高山帯に遺存していることを意味し、東アジアの高山帯フロラの特異性を示している。
著者
樋口 正信
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Museum of Nature and Science. Series B, Botany (ISSN:18819060)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.115-121, 2007-12

Eleven species in three genera in Hypnaceae and four species in four genera in Hylocomiaceae are reported based on the collections made in the Tien Shan Mountains in 1995. Hypnum callichroum and H. subimponens subsp. subimponens are new records for the moss flora of Kazakhstan, and Hypnum cupressiforme var. subjulaceum and H. recurvatum are new to Kyrgyxstan. A key for the Hypnum species in Kazakhstan and Kyrgystan is shown.