著者
鳥山 成一 山崎 敬久 近藤 隆之 水畑 剛 奥村 秀一 水上 昭弘 神保 高之 木戸 瑞佳 日吉 真一郎 溝口 俊明 杉本 伸夫 松井 一郎 清水 厚
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 : journal of environmental chemistry (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.269-285, 2005-06-24
参考文献数
39
被引用文献数
5 4

2004年2月1日から6月14日まで, ライダーの観測データと, 標高別観測地点におけるSPM, オキシダント等の大気汚染物質観測データを用いて, 黄砂やオキシダントの高濃度の事例に関して総合的に解析したところ, 次のような結果が得られた。<BR>黄砂の規模は地上~2, 000m, 3, 000~6, 000m, 地上~4, 000m等, 種々の気塊で飛来していることが観察された。標高別3地点 (立山室堂, 立山局, 小杉局) のSPM濃度は, ライダーの画像と良く一致した。<BR>富山平野上空に出来た「黄色い帯」は, 珍しく解消されないで残っていた逆転層に大気境界層上空の薄い黄砂層が自然降下し, 形成されたものである。<BR>黄砂飛来と同時にオキシダントを含むと考えられる大気汚染物質で出来た二次粒子等からなる球形粒子がライダーで観測された。バックトラジェクトリーによって, 黄砂飛来と同時にオゾン等の大気汚染物質を含む気塊が, 日本の関西・北九州地方, 中国大陸方面から流入していると考えられた。<BR>2004年6月5日にオキシダント注意報の大規模な発令があった。ライダー画像はオキシダントも含む大気汚染物質で出来た球形粒子の存在を示唆した。バックトラジェクトリーでは, 関東方面の気塊の流入である可能性が高いと考えられた。このような黄砂とは無関係な高濃度のオキシダントは関東, 中京, ないしは関西方面からの気塊で運ばれてくるものと推察された。
著者
近藤 隆之 神保 高之 奥村 秀一 大西 勝典
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.282-288, 1999-07-10
参考文献数
12
被引用文献数
3

拡散型ポロメータにより観葉植物の気孔コンダクタンスを測定し, 観葉植物のホルムアルデヒド吸収能力を比較するとともに, その室内汚染改善効果について検討を行った。南向きの窓辺に置いた10種類の観葉植物の日中の気孔コンダクタンスは, 0.01(パキラ)〜0.10mol m^<-2s>s^<-1>(シンゴニュウム)の範囲にあり, シンゴニュウム, スパティフィラム, ベンジャミンが気孔コンダクタンスが大きく, ホルムアルデヒド吸収能力の大きい観葉植物といえる。シンゴニュウム, スパティフィラム, ベンジャミンの気孔コンダクタンスの個体差はいずれも比較的小さかった。この3種類の観葉植物の9時から17時までの気孔コンダクタンスの変動パターンは光合成有効放射量の変動パターンと類似していた。質量収支モデルによる試算から, 喫煙者のいる会議室内にスパティフィラムを1鉢(総葉面積0.9m^2)置くことにより, 室内ホルムアルデヒド濃度は平均5%低くなると予測され, 観葉植物が室内汚染の改善に寄与することが確認できた。