著者
久岡白 陽花 橋村 一彦 北風 政史 大原 貴裕 中谷 敏 住田 善之 神崎 秀明 金 智隆 中内 祥文 林 孝浩 宮崎 俊一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.772-775, 2009

症例は50歳, 男性. 主訴は呼吸困難. 既往歴として34歳より高血圧あり. 就寝時の息苦しさを主訴に入院. 心エコーで僧帽弁後尖middle scallopの逸脱による僧帽弁閉鎖不全, 心拡大を認め, 左室造影で重症の僧帽弁閉鎖不全と全周性の壁運動低下(左室駆出率30%)を認めた. 僧帽弁置換術の適応と考え精査を施行. 経胸壁心エコー, 経食道心エコーで左房内に隔壁様構造物を認めた. 経胸壁3D心エコーでは, 隔壁様構造物は左肺静脈壁より左房自由壁側に連続するが, 中隔側では欠損し三日月様構造を呈しており, 特徴的な形態より三心房心と診断した. 欠損孔は大きく(3.88cm<sup>2</sup>), 流入障害は認められなかった. 重症僧帽弁閉鎖不全症に対し僧帽弁形成術を施行し, 同時に左房内異常隔壁切除を施行した. 僧帽弁閉鎖不全の術前精査の際に偶然診断された三心房心を経験し, 3Dエコーで観察し得たので報告する.
著者
永井 利幸 永野 伸卓 菅野 康夫 相庭 武司 神崎 秀明 草野 研吾 野口 輝夫 安田 聡 小川 久雄 安⻫ 俊久
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Suppl1, pp.50-1-50-1, 2015-11-07 (Released:2016-04-07)

心臓サルコイドーシスにおいて、ステロイド治療は標準的治療として確立しているが、ステロイド治療の途中中止あるいは適切な中止時期に関して検討した報告は皆無である。今回我々は過去 30 年間に当院で心臓サルコイドーシスと確定診断(日本サルコイド ーシス/肉芽腫性疾患学会 2006 年診断基準)され、ステロイド 治療を導入された連続 70 例を後ろ向きに解析した。 観察期間内(9.8 ± 5.7 年)の検討で、12 例が臨床的あるいは画像 的活動性の改善を理由にステロイド治療が途中中止され、途中中 止群のステロイド治療期間は 3.4 ± 3.6 年であった。途中中止群、 継続群の 2 群間で年齢、性別、左室駆出率、ガリウムシンチ所見、 FDG-PET 所見、心不全既往、心室性不整脈既往、そしてステロ イド用量に関しても有意差を認めなかった。途中中止群のうち、5 例が心臓死の転帰をとり、継続群と比較して死亡率は有意に高値 であった(42% vs. 16%, P=0.047)。さらに、途中中止群は継続 群 と 比 較 し て 観 察 期 間 内 に 著 し く 左 室 駆 出 率 が 低 下 し た (-23.1 ± 31.5 % vs. 8.4 ± 31.8 % , P=0.019)。 結論として、心臓サルコイドーシスの⻑期管理において、臨床的 あるいは画像的に一時的な改善が認められたとしても、ステロイ ド治療の途中中止には慎重を期すべきである。