著者
林 和弘 中谷 敏幸 太田 暉人
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.902-913, 2009 (Released:2009-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2 1

電子出版では電子ジャーナルサービスを支える,XMLなどに代表されるメタデータを作成することが必須である。日本の主な学術ジャーナル出版では冊子製作後に電子ジャーナル用データを作成することがまだ多く,速報性に欠けるなどいくつかの電子ジャーナルの利点を生かせていない。日本化学会では国際標準的な電子出版を目指してSGML,TeXなどのメタデータを利用したさまざまな手法を経験した。それらのメリット,デメリットと国際状況を考察し,その結果を踏まえて改良し2009年から開始した国際的にも通用する新しいXML出版体制を紹介して運用と課題を考察する。この体制では,eXtylesというツールを利用してMS-Wordから直接NLM-DTD準拠のXMLを作成し,できたXMLを利用して版下を作成後,著者校正が終わり次第すぐに電子ジャーナル公開が可能になる体制となった。
著者
前田 辰昭 高木 省吾 中谷 敏邦 高橋 豊美
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

北海道西岸沖合に産卵のため来遊するスケトウダラの魚群構造と回遊の研究は、当初計画通り実施された。昭和62年度から平成元年度の4月と10月に、後志沖合から青森県沖合の日本海で水温、塩分、餌料プランクトン等の外、航走中24KHzの魚探を作動させて、スケトウダラの分布と密度を観察した。また、中層トロ-ルによる漁獲試験と標本採集をした。この外2月には檜山沖合で本種の標識放流を実施した。1.4月の魚群は沿岸の産卵場付近では150〜300m層に、沖合では200〜400m層と、沖合ほど深い。分布域は日本海の中央部にまで達し、対馬暖流水と亜寒帯水との境界域に当る前線域に高密度群が出現した。2.10月の魚群は産卵期の接近に伴い、次第に接岸し、沿岸域で最も密度が高い。この時期は高水温のため、400〜500m層と分布層が深い。3.魚群の年齢組成は3〜8才で、それらの中心は卓越年級群の1984年生れである。3ケ年間では1989年10月が最高密度を示した。4.標識放流は昭和62年度から平成元年度までの2月に、檜山沖合で約4500尾について実施した。本研究期間内の再捕結果は、従来の知見とされた定説の北上回遊と異なり、索餌期の夏期には南下して津軽海峡に出現し、さらに新潟県沖合から富山湾沖合にまで回遊して再捕されている。しかし、産卵期には放流地点の檜山沖合でのみ再捕され、本種の回帰性の強さが示唆された。5.本種の回遊は従来、北部の武蔵堆周辺から陸棚沿に南下し、産卵後は再び北上するとされていた。しかし、本研究では、成魚は南西部沖合から接岸し、産卵後は再び南西海域に回遊することが明らかになった。今後は不明であった幼稚魚の移送先や未成魚期の生活域の把握が必要である。それは来遊量予測や資源変動の解明に不可欠なためである。
著者
中谷 敏昭 灘本 雅一 三村 寛一 伊藤 稔
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.451-461, 2002-09-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
32 46

本研究では,60歳以上の健康な日本人高齢男女の下肢筋力をフィールド場面で簡便に評価できるテストとしてCS-30テストの信頼性と妥当性およびその加齢変化を検討するとともに,性別年齢階級別評価表を作成することを目的とした. 1)CS-30テストの信頼性(再現性)は男性がγ=0.84,女性がγ=0.88と高い相関関係を示した. 2)CS-30テスト成績と膝伸展力との間に男性はγ=0.44,女性はγ=0.52の有意な相関関係が認められた. 3)CS-30テストの成績は加齢にともなって有意に低下する傾向を示した.その成績は男女ともに60-64歳群が最も高値を示し,70歳以降その値は有意に低下した. 4)各年齢群ともに男性の方が女性よりやや高い値を示したが,男女差は認められなかった. 5)5歳毎の各年齢群におけるCS-30テストの成績は,男女ともに正規分布することが認められた.以上のことから,本研究のCS-30テストは健康な日本人高齢者を対象とした下肢筋力をフィールドで簡便に評価するテストとしては有効であると考えられる.
著者
梅﨑 さゆり 中谷 敏昭 山本 大輔 中須賀 巧 橋元 真央
出版者
日本発育発達学会
雑誌
発育発達研究 (ISSN:13408682)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.59, pp.27-40, 2013 (Released:2013-07-23)
参考文献数
38
被引用文献数
1 3

This study investigated the effects of a coordination exercise program on quantitative and qualitative changes of throwing and catching ability with the subjects of 5 and 6-year-old 30 preschool children. A4-week control period and a 4-week exercise period were separately set. The exercise program was conducted for 40 minutes a day following the instruction guidance, during 8 days over 4 weeks. The subjects performed motion capacity tests (standing broad jump, side jump) and ball handling tests (control, catching,tennis ball handling) in each period. We evaluated the throwing and catching motions by using five typical developmental stages of motion patterns. As the results, we found a statistically significant increase in the side jump, catching, tennis ball handling and score evaluation for throwing and catching motions in the exercise period compared to the control period. The same results were obtained in both genders. These results suggested that, the coordination exercise program focused on basic ball handling technique may be beneficial to enhance the agility and ball handling capacity in preschool boys and girls aged 5-6, who need an adequate exercise instruction to improve their throwing and catching motions.
著者
寺田 和史 塩見 玲子 上 英俊 灘本 雅一 中谷 敏昭
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.191-199, 2012 (Released:2012-06-02)
参考文献数
30
被引用文献数
2

The rate of perceived exertion is an easy and practical way to monitor the intensity of resistance exercise in a field setting. For middle-aged persons, weight-bearing exercise is safer than resistance training using weights. The purpose of this study was to investigate the effect of exercises using one's own body weight by measuring exercise intensity with the newly-developed perceived exertion Japanese scale (S-scale, on a 6-point scale) in middle-aged men. Twenty-five healthy men (age range, 40-70 years) were randomly and equally assigned to an exercise training intervention group (TG, n=13) or a control group (CG, n=12). TG members performed a structured exercise regimen consisting of group-based and home-based training using their own bodyweight, performing repetitions until they reached a perceived exertion intensity of 5 out of 6 (S-scale). Participants performed one set of each exercise, which included resistance training of the upper (push-up) and lower (squat) limbs and abdominal (sit-up) muscles, 3 times a week for 12 weeks. The outcome measures were body composition, abdominal girth, and blood pressure, as well as the 30-second chair-stand test (CS-30), vertical force in sit-to-stand movement from a chair, vertical jump (VJ), shoulder horizontal adduction (a test of muscle strength), 30-second sit-up test, leg muscle power using a bicycle ergometer, center of foot pressure (a static equilibrium function test), and chair sit-and-reach test. There were no incidents of injury or musculoskeletal damage due to the exercise program. At the baseline, each group was well matched in physical characteristics. After 12 weeks of intervention, we identified a statistically significant two-factor interaction between the exercise and control groups in the CS-30 (F=19.8, p<0.01) and VJ (F=34.4, p<0.01). These results suggest that weight-bearing exercises performed in conjunction with the newly-developed perceived exertion scale provide safe and effective resistance training for middle-aged men.
著者
久岡白 陽花 橋村 一彦 北風 政史 大原 貴裕 中谷 敏 住田 善之 神崎 秀明 金 智隆 中内 祥文 林 孝浩 宮崎 俊一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.772-775, 2009

症例は50歳, 男性. 主訴は呼吸困難. 既往歴として34歳より高血圧あり. 就寝時の息苦しさを主訴に入院. 心エコーで僧帽弁後尖middle scallopの逸脱による僧帽弁閉鎖不全, 心拡大を認め, 左室造影で重症の僧帽弁閉鎖不全と全周性の壁運動低下(左室駆出率30%)を認めた. 僧帽弁置換術の適応と考え精査を施行. 経胸壁心エコー, 経食道心エコーで左房内に隔壁様構造物を認めた. 経胸壁3D心エコーでは, 隔壁様構造物は左肺静脈壁より左房自由壁側に連続するが, 中隔側では欠損し三日月様構造を呈しており, 特徴的な形態より三心房心と診断した. 欠損孔は大きく(3.88cm<sup>2</sup>), 流入障害は認められなかった. 重症僧帽弁閉鎖不全症に対し僧帽弁形成術を施行し, 同時に左房内異常隔壁切除を施行した. 僧帽弁閉鎖不全の術前精査の際に偶然診断された三心房心を経験し, 3Dエコーで観察し得たので報告する.
著者
中谷 敏昭 林 達也
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高齢者が自立生活を維持するためには下肢筋機能が維持されていることが望ましい.本研究では,連続ジャンプ(SSC動作)を用いて下肢筋力や筋パワーなどの筋機能を改善する運動プログラムの効果と中止の影響を検討した.連続ジャンプは,Borg-RPEで14.3程度,着地時の床反力は体重の約2倍程度であった.3ヶ月間のトレーニグでは,下肢筋力やバランス能力が改善した.トレーニグ終了後は,脚伸展能力が低下する傾向にあった.トレーニング期間を5ヶ月間に延ばした場合には,下肢筋力とバランス能力が改善した.連続ジャンプを用いた本課題のトレーニグは,高齢者の下肢筋機能やバランス能力を改善するプログラムと言える.
著者
浅沼 俊彦 石蔵 文信 中谷 敏 増田 佳純
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

胸痛消失後の心筋虚血の診断(「虚血の既往」の診断)はしばしば困難であり、非侵襲的かつ簡便な心エコー法でこれが可能になれば、臨床で有用と考えられる。われわれは、動物実験により、最新技術である組織トラッキング法を用いて、これが可能か検討した。その結果、微細な心筋の異常運動(駆出後収縮)は、虚血改善後にも持続することが明らかになり、心エコー法による「虚血の既往」診断が可能と考えられた。
著者
中谷 敏昭
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,中高年者や高齢者の健康づくりとしてトレーニング施設ではなく,自宅(イン・ハウス)で効果的なトレーニングを実施させるためのシステムの開発と実践をおこなった.まず,定期的なトレーニングを専門家の指導の元に3ケ月あるいは6ケ月(週に2回あるいは1回の計24回)行わせ,その後に運動継続を目的としたフォロー教室と健康づくりのための情報誌を作成して体力の変化を検討した.その後,イン・ハウスで行う筋力トレーニングのための活動筋の自覚的疲労感を指標とした強度スケールを開発し,生理学的強度との関係を若年男性と中年女性を対象に検討した.その結果,アームカール運動をもちた筋力トレーニング時の強度スケールは若年男性および中年女性とも,運動回数の進行とともに増加し筋電図仕事量でみた生理学的強度やBorg-RPEスケールとも強い相関関係をしました.その後,中年女性を対象に自宅で週に3回のアームカール運動(「かなり効いてきた」と感じる回数まで)を2〜3ケ月間行わせたところ,等尺性肘屈曲力と「限界」と感じる回数が増加し,筋力と筋持久力の改善に効果的な方法であることが明らかにできた.また,本研究の片側アームカール運動のトレーニングでは,反対側(非トレーニング側)の筋力と筋持久力が改善されcross-education効果を生じさせた.以上のことから,本研究のイン・ハウスの筋力トレーニングで利用するための活動筋の自覚的疲労感を指標とした強度スケールは筋力と筋持久力を改善させる指標としては安全で効果的な内容であることが示された.