著者
陳 香純 神田 幸司 上野 友香 友永 雅己 中島 定彦
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.87-94, 2015-06-25 (Released:2017-02-06)

水族館で飼育されている2頭の雌のバンドウイルカの吐き戻し行動に及ぼす遊具導入の効果について、環境エンリッチメントの視点と行動変容法の一つである単一事例計画法を用いて検討した。特別な処置を施さないベースライン期(A)の測定に引き続き、毎日の演技訓練(給餌を伴う)の直後にフープを30分間水槽に投入する介入期(B)を行った。介入によって吐き戻し行動の回数が減少することがA期とB期の繰り返し手続きにより明らかとなったが、効果の持続性と場面間の般化に関して個体差が認められた。
著者
船坂 徳子 吉岡 基 柿添 裕香 神田 幸司 白水 博
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.305-310, 2011 (Released:2012-01-21)
参考文献数
16

シャチにおける視覚器の構造を把握するため,眼球とハーダー腺の形態学的特徴を調べた.眼球は多数の眼筋に覆われており,眼球壁は角膜と強膜からなる眼球線維膜,毛様体,虹彩と脈絡膜からなる眼球血管膜,網膜からなる眼球内膜の3層によって構築されていた.網膜は,組織学的に暗所適応型の特徴を有していた.眼球内の各部位を計測し,他鯨種と比較したところ,シャチの眼球は数種のマイルカ科鯨類と同様の形態を有することがわかった.ハーダー腺は,眼球の周囲をベルト状に囲む管状腺であった.結膜円蓋や眼瞼結膜には,ハーダー腺分泌物である粘液性物質を排出するための無数の導管開口部が存在していた.以上から,シャチには効率的な集光機能を有する眼球や,それを保護するための眼粘液を分泌するハーダー腺が備わっていることが明らかとなった.