著者
大沼 亮 星 文彦 松田 雅弘 酒井 朋子 神野 哲也
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.427-432, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
18

〔目的〕脳卒中片麻痺患者の歩行開始時の体幹運動特性について検証した.〔対象と方法〕対象は健常高齢者10名と脳卒中片麻痺患者30名とした.重心動揺計,表面筋電計,加速度計を用い,歩行開始時の体幹運動を計測した.筋電図は左右の中殿筋と脊柱起立筋の4筋を導出筋とし,加速度は頸部(C7),腰部(L3),骨盤(S1)に貼付し,測定した.〔結果〕脳卒中片麻痺患者の筋活動潜時は,麻痺側先行ステップ時の麻痺側中殿筋,非麻痺側先行ステップ時の麻痺側脊柱起立筋が非麻痺側より遅延していた.加速度はC7からL3を引いた差の値(dCL)の比較において,健常高齢者と脳卒中片麻痺患者の麻痺側先行ステップで立脚側方向へdCLが変化していたのに対して,非麻痺側先行ステップで遊脚側方向へ変化がみられた.〔結語〕脳卒中片麻痺患者の歩行開始において,先行肢別に体幹が傾斜する代償制御と動き出しが遅延する遅延制御の異なるパターンの運動戦略を呈した.
著者
池松 幸二 神野 哲也 加地 啓介 竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.959-964, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
25

〔目的〕THA後の股関節外転運動で臥位姿勢の違いが,筋力・筋活動・疼痛に及ぼす影響を検討すること.〔対象と方法〕THAを施行する20名を対象とし,筋力・筋活動・疼痛の測定を術前・術後3日・術後10日に行った.背臥位群と腹臥位群に振り分け,術後理学療法において,最大努力での静止性両側股関節外転運動を行った.〔結果〕股関節外転運動時の大腿筋膜張筋の筋活動は,背臥位群より腹臥位群で低かった.歩行時の中殿筋活動開始時期で交互作用を認め,術後3日では両群で術前より遅くなったが,術後10日では背臥位群より腹臥位群で早くなった.〔結語〕歩行時の中殿筋活動開始時期は THA後に遅くなるが, 腹臥位での股関節外転運動は背臥位での股関節外転運動より, 中殿筋活動開始時期を早めた.