著者
早乙女 雄紀 大沼 亮 西原 賢 星 文彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.63-67, 2022-10-26 (Released:2022-10-28)
参考文献数
23

目的:パーキンソン病(以下,PD)患者における,トレッドミル歩行と部分免荷トレッドミル歩行時の歩行周期と両側の股関節,膝関節及び足関節の関節角度を比較した。 方法:健常者10名,PD 患者7 名(解析対象は5名)に対し,免荷装置(SPIDER)を用いて,ポータブル3 次元動作解析装置(MYOMOTION)を使用し,免荷条件と非免荷条件の各歩行周期割合と下肢角度データを計測した。結果:健常者は条件間で有意差はなかったが,PD 患者は非免荷条件と比較して,免荷条件で立脚期の割合が減少し,遊脚期の割合が増加した(p <0. 05)。さらにPD 患者では同時支持期が減少した(p <0. 05)。結論:PD 患者に部分免荷トレッドミル歩行は同時支持期割合を減少させ,歩幅増大の一要因である可能性が示唆された。
著者
大沼 亮 星 文彦 松田 雅弘 酒井 朋子 神野 哲也
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.427-432, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
18

〔目的〕脳卒中片麻痺患者の歩行開始時の体幹運動特性について検証した.〔対象と方法〕対象は健常高齢者10名と脳卒中片麻痺患者30名とした.重心動揺計,表面筋電計,加速度計を用い,歩行開始時の体幹運動を計測した.筋電図は左右の中殿筋と脊柱起立筋の4筋を導出筋とし,加速度は頸部(C7),腰部(L3),骨盤(S1)に貼付し,測定した.〔結果〕脳卒中片麻痺患者の筋活動潜時は,麻痺側先行ステップ時の麻痺側中殿筋,非麻痺側先行ステップ時の麻痺側脊柱起立筋が非麻痺側より遅延していた.加速度はC7からL3を引いた差の値(dCL)の比較において,健常高齢者と脳卒中片麻痺患者の麻痺側先行ステップで立脚側方向へdCLが変化していたのに対して,非麻痺側先行ステップで遊脚側方向へ変化がみられた.〔結語〕脳卒中片麻痺患者の歩行開始において,先行肢別に体幹が傾斜する代償制御と動き出しが遅延する遅延制御の異なるパターンの運動戦略を呈した.
著者
大沼 亮 原 慶明
出版者
山形大学
雑誌
山形大学理学部裏磐梯湖沼実験所報
巻号頁・発行日
vol.17, pp.11-14, 2010-03

はじめに オオイシソウ属藻類は汽水域から淡水域に生育する紅色植物で、日本では7月から11月頃に池沼や河川で繁茂する。体は糸状で皮層細胞と中軸細胞に分化し、1から3回ないしはそれ以上に分枝する。体色は概ね暗青緑色で、体長は50cmを越えることもある。有性生殖は不詳で、単胞子による無性生殖で繁殖する。池の石や用水路のコンクリート壁表面にも付着するが、沈水植物の葉・茎あるいはヨシなどの主茎表面に付着することが多い。日本にはオオイシソウ属及び近縁の藻類として以下の5種が知られている ; Compsopogon oishii(オオイシソウ)の他に、C. aeruginosus(イパラオオイシソウ)、C. corticrassa(アツカワオオイシソウ)、C. hookeri(インドオオイシソウ)、Composopogonopsis japonica(オオイシソウモドキ)である。これらは分枝様式と皮層の形成様式、層数、皮層細胞の形などの形態形質で識別できる。オオイシソウは付着部に近い主軸では2から3回分枝する。皮層は2から3層よりなり、糸状体が肥大した根本付近の主軸では中軸細胞が死んで中空となる、特徴がある。主な分布域は関東以西とされているが、福島県(長谷井氏、私信)での生育も確認されている。今回オオイシソウの生育が確認できた白竜湖は山形県南陽市にあり、本種の新たな北限生育地となる。また、繁茂する時期は夏期から秋期とされていたが(前述の長谷井氏によれば越冬することもあるという)、今回の採集・生育確認は冬期であり、産地における生育時期の再調査が必要である。なお、オオイシソウの和名は明治33年武州矢口村(東京都狛江市)の清水川(公園内の水路として僅かに痕跡が残っている)で本種を発見した大石芳三氏に由来する。記載者の岡村金太郎博士は、隅田川や月島での生育も確認している。