著者
姫宮 雅美 神門 卓巳 宮廻 克己
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.188-201, 2013-01

近年,全国における障がい者の就職件数が年々増加している。それに伴い,農業への障がい者就労や障がい者施設の農業参入,また特例子会社による農業経営など,農業分野における障がい者就労件数も増えている。そうした背景を踏まえ,島根県農業技術センターでは,平成23年度から農福医連携による園芸作業プログラムの開発を目指し,実証調査を行っている。また,農福連携の支援に向けた基礎的調査として,島根県内の障がい者施設に対するアンケート調査のほか,障がい者施設や農家への聞き取り調査を行ってきた。こうした調査研究を通じて,栽培技術面での課題を整理し,障がい者にも取り組みやすい農業技術や作業体系の構築について検証しているところである。ここでは,障がい者が取り組む農作業の実態と可能性を明らかにし,今後の島根県における農業と福祉の連携方策について考察する。
著者
細木 高志 浜田 守彦 神門 卓巳 森脇 良二 稲葉 久仁雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.395-403, 1991
被引用文献数
5 24

日本, 中国および米国•仏国のボタンの花弁色素組成を調べ, 各国の品種が花色の育種の面でどのように異なっているかを比較検討した.<BR>調査したすべての日本品種 (<I>P. suffruticosa</I>) の花色はCIE座標軸上の赤と青の範囲内に入った. 紅紫色品種は赤味•青味とも高い値を示した. 桃色と白色品種は赤味•青味とも低い値となった. 暗赤色と紅紫色の品種は花弁に多量のアントシアニンを含んでいたが,桃色と白色品種は逆に少なかった. したがって花弁の明度と花弁のアントシアニン含量には高い負の相関がみられた. すべての日本の暗赤色または紅紫色品種は,6種類のアントシアニン (peonidin 3,5-diglucoside/peonidin 3-glucoside, cyanidin 3, 5-diglucoside/cyanidin 3-glucoside, pelargonidin 3,5-diglucoside/pelargonidin 3-glucoside) を含んでいた. 鮮紅色の品種はCy3G5G/Cy3Gを欠いていたが, 大量のPg3G5G/Pg3Gを含んでいた. いくつかの桃色品種はCy3G5G/Cy3GおよびPn3GとPg3Gを欠いていた.<BR>中国品種 (<I>P. suffruticosa</I> と<I>P. suffruticosa</I> var. <I>spontanea</I>) は一般に6種類のアントシアニンのうちPg3Gを欠いており, このことが鮮紅色の品種の少ないことと関連しているようであった.<BR>米国•仏国の雑種品種 (<I>P. suffruticosa</I>×<I>P. lutea</I> or <I>P. delavayi</I>) は, 6種類のアントシアニンのうちPg3GとPg3G5Gを欠いており, このことが深紅色や緋色品種の出現に関連しているようであった. また鮮黄色のchalconeが<I>P. lutea</I>や<I>P. delavayi</I> から導入され, 花弁内でpeonidin や cyanidin と混合し, オレンジ色やクリ色等, ユニークな花色を発現させる要因となっていた.