著者
森脇 良二
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.76-81, 1965 (Released:2010-10-29)
参考文献数
6

仙台市への通勤通学者数は1930年から1960年の間に約9倍に増加し, それに伴って仙台市を中心とする通勤通学圏も著しく拡大した。1930年の仙台市通勤通学圏を構成していた8市町村と, 当時圏内に入っていなかったがこれと隣接し仙台市との結びつきが比較的強かった4町村とからなる地域が, 1960年には仙台市の第1次通勤通学園へと発展した。1930年の圏の周囲にあって, 当時仙台市との間に通勤通学を通じてある程度の結びつきを有していた7市町村と, 殆ど結びつきを有していなかった8市町村とがらなる地域が, 1960年には第2次圏を構成している。1930年当時仙台市との間にある程度の結びつきを有していた7市町村の中の5市町村はいずれも主要鉄道路線沿いであるのに対して, 殆ど結びつきを有していなかった8市町村の中の6市町村は直接鉄道路線に沿わないバス交通またはバス・鉄道双方依存型の市町村である。1930年の通勤通学圏および1960年の第1次圏はいずれも仙台を中心とする主要鉄道路線沿いに広がっており, その発達には鉄道交通の影響が強くうかがわれる。1960年の第2次圏についても当然主要鉄道路線との関連は濃厚であるが, 鉄道路線沿い以外の地域にも圏の拡大がみられ, その発達にはバス交通の影響がうかがわれる。
著者
細木 高志 浜田 守彦 神門 卓巳 森脇 良二 稲葉 久仁雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.395-403, 1991
被引用文献数
5 24

日本, 中国および米国•仏国のボタンの花弁色素組成を調べ, 各国の品種が花色の育種の面でどのように異なっているかを比較検討した.<BR>調査したすべての日本品種 (<I>P. suffruticosa</I>) の花色はCIE座標軸上の赤と青の範囲内に入った. 紅紫色品種は赤味•青味とも高い値を示した. 桃色と白色品種は赤味•青味とも低い値となった. 暗赤色と紅紫色の品種は花弁に多量のアントシアニンを含んでいたが,桃色と白色品種は逆に少なかった. したがって花弁の明度と花弁のアントシアニン含量には高い負の相関がみられた. すべての日本の暗赤色または紅紫色品種は,6種類のアントシアニン (peonidin 3,5-diglucoside/peonidin 3-glucoside, cyanidin 3, 5-diglucoside/cyanidin 3-glucoside, pelargonidin 3,5-diglucoside/pelargonidin 3-glucoside) を含んでいた. 鮮紅色の品種はCy3G5G/Cy3Gを欠いていたが, 大量のPg3G5G/Pg3Gを含んでいた. いくつかの桃色品種はCy3G5G/Cy3GおよびPn3GとPg3Gを欠いていた.<BR>中国品種 (<I>P. suffruticosa</I> と<I>P. suffruticosa</I> var. <I>spontanea</I>) は一般に6種類のアントシアニンのうちPg3Gを欠いており, このことが鮮紅色の品種の少ないことと関連しているようであった.<BR>米国•仏国の雑種品種 (<I>P. suffruticosa</I>×<I>P. lutea</I> or <I>P. delavayi</I>) は, 6種類のアントシアニンのうちPg3GとPg3G5Gを欠いており, このことが深紅色や緋色品種の出現に関連しているようであった. また鮮黄色のchalconeが<I>P. lutea</I>や<I>P. delavayi</I> から導入され, 花弁内でpeonidin や cyanidin と混合し, オレンジ色やクリ色等, ユニークな花色を発現させる要因となっていた.