著者
竹原 小菊 福司山 エツ子 木戸 めぐみ 山崎 歌織 外西 壽鶴子 進藤 智子 徳田 和子
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.7-25, 2008

平成15・16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-魚介類の調理」の一環で,漁港を有し漁業が盛んな地域,農村米作地域及び都市部の中から9地域100人を対象に,各地域で食べられている魚介類の種類とその調理方法等を,アンケートと聞き取り調査によって調べたので報告する.魚の使用種類は,ほとんどの地域であじがトップを占めていたが,枕崎市はかつお,種子島の西之表市はきびなご,とびうお,鹿屋市はかんぱちであった.海に囲まれた甑島の里村では,極端に魚種が少なく,調理方法も単純であった.調理方法は,なま物(刺身)がトップを占め,次いで焼き物(塩焼き),煮物(鍋物を含む),揚げ物(フライ,てんぷら)がどの地域にも多くみられた.枕崎市には「かつおのびんた料理(頭の塩煮)」等かつおをすべて無駄なく創意工夫した多くの料理がある.また,きびなごはあご,さばに次いでよく食べられており,「きびなごときらす(おから)のおっけ」は普及したい伝承料理の一品である.さらに,豊富にとれる魚(とびうお,小あじ,いわし等)を使用し,風土に適する保存料理として考案されたつけ揚げ(さつま揚げ)など多くの魚介類料理がある.
著者
時枝 久子 福司山 エツ子 徳田 和子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.11-30, 1998-09

若年単身女性の食生活の実態を把握することを目的として、女子大生の身体および生活状況や食に関する意識について、2地区(A、B地区)別による比較を行い次の結果を得た。(1)最近の身体状況では両地区全体で「体がだるい」「目覚めが悪い」「便秘」を多くの学生が挙げている。生活状況は、平日の睡眠時間は全体で6〜7時間の割合が高く、両地区とも睡眠は概ねとれている。起床時間は全体で7〜8時の割合が高いが、A地区に比べてB地区の方が起床時間が早い。ここ1年間の体重の変化は全体で「変わっていない」と回答した者が多い。また「運動習慣はない」割合がA地区で特に高い。(2)食習慣は、朝食の欠食は全体的に少なく、B地区が特に少ない。また、居住形態別では両地区とも寮生の欠食が少ない。食事摂食回数は「3回」が高い割合を示し、特にB地区の全体と寮生が高い。食事は美味しく食べている者が多く、食事に対する意識は両地区とも高く、A地区は健康とダイエットが配慮され、B地区は健康に対する配慮が強い。(3)食品摂取状況は、肉・魚類の摂取ではやや肉類が多い。特に両地区とも自炊生にその摂取の割合が高い。卵は全体では1日1個の摂取はないが、B地区の自宅生は摂取の割合がやや高い。大豆製品は全体では週に「1〜2回」の割合が高いが、B地区の自宅生に大豆製品の摂取が多い傾向にある。牛乳の摂取量は両地区とも少ない傾向にある。乳製品はヨーグルトが好まれるものの、摂取は隔日が多い。油物の摂取は全体で毎日「2〜3回」の割合が高い。野菜類は緑黄色野菜、淡色野菜とも普通にとっている。飲み物は清涼飲料水を「殆ど飲まない」割合が高く、茶類が飲まれている。A地区はウーロン茶が多く、B地区は緑茶が多く飲まれている。飲酒は全体では低いが、自炊生に時々飲む傾向が見られる。(4)昼食の状況は全体で外食と手作り弁当がほぼ半々であるが、両地区とも寮生に外食の割合が高い。昼食の主食は両地区の自宅生と自炊生に米食が多く、寮生にパン食が多い。昼食の予算は全体で「300〜400円」の割合が高かった。(5)日常食の料理の嗜好は肉類を素材とした料理が好まれ、野菜が中心で特に香味野菜を使用した料理を好まない傾向にある。
著者
竹原 小菊 純浦 めぐみ 福司山 エツ子 児玉 むつみ 佐藤 昭人
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.7-26, 2009

児童生徒や保護者の食に関する実態や意識などの現状を把握し, 家庭, 学校における今後の食育推進のあり方を考察するための基礎資料を得ることを目的に調査した.今回は「朝孤食」と「朝共食」の食習慣, 健康状態等との比較を行った. 「朝孤食」は「朝食を一人で食べる」, 「朝共食」は『朝食を「家族全員」と「大人もいるが全員ではない」と「子どもだけ」』の該当者を全て加えた. 今回の調査では, 孤食を避け, 誰かと共に食卓を囲むこと「子どもだけで食べる」でも心身の健康には十分効果があることが推察でき, 一般的には「子どもだけで食べる」は孤食に分類1)されるが本調査では『共食』に値すると判断しこのような群に分け検討した.正しい食習慣の育成や食文化の伝承などは, 大人と一緒に食べる『共食』に期待したい.児童生徒の「朝孤食」の割合は, 小学生9.1%, 中学生25.7%と差がみられ, 朝食の共食状況と心身の不調との関係では, 「朝孤食」は「朝共食」に比べ「身体がだるい」, 「目覚めが悪い」, 「イライラする」等の順で割合が高かった. 今回の調査で, 「朝孤食」は就寝時刻が遅いことで, 夜食の摂取が多くなり, 朝食の欠食につながり, 身体の不調に現れていることが推察できた.また, 保護者の食意識では, 「一人で食べさせない」と回答したのは, 「朝共食」の児童生徒の保護者60.2%に比べ「朝孤食」のそれは36.5%と親の意識に大きな差がみられた.今回の調査で「朝孤食」の健康に及ぼす影響や食習慣上の問題点が明らかになり, 「朝共食」が心身の健康にとって好ましいことが分かった.