著者
近 雅代 沼田 貴美子 江後 迪子 左 篤子 外西 壽鶴子
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.25-39, 2003-02-28

福岡県太宰府市,長崎市,大分市,熊本市,鹿児島市と東京都文京区で1816人を対象に小学生,学生,成人の三つの世代に分けてラーメンがどのように食べられているか調べた。1.ラーメンが「好き」な人は「大好き」な人も含めて小学生,学生の世代で85%,成人の世代で68%に達した。全体として79%の人がラーメンを好み,世代を超えて好まれていることが分かった。ラーメンが「大好き」な人は小学生に多く,年齢が若い世代の人により好まれているようである。2.長崎の成人においてラーメンの「大好き」と「好き」が少なかったのは,チャンポンや皿うどんなどの食文化が,長崎ではラーメンより古くからあったためと考えられる。3.どの世代もどの地域でもラーメンは間食ではなく1回の食事として位置づけていた。4.澄んだスープは東京の人が,濁ったスープは九州の人が世代を問わず好んでいた。世代別で見ると「学生」の世代が濁ったスープを好む割合が高かった。5.世代を問わずとんこつ味が好まれていた。地域別では,しょうゆ味を東京が,とんこつ味を九州地域が好んでいた。6.ラーメンの好まれる具材は世代によって異なった。「小学生」は,焼き豚,コーン,ねぎ,たまご,もやしを,「学生」は焼き豚,ねぎ,もやし,コーン,たまごを,「成人」はねぎ,もやし,焼き豚,メンマ,キャベツを,この順に好んでいた。地域の特徴は,福岡のごま,鹿児島と大分のキャベツ,東京と長崎のメンマ,熊本のきくらげにみられた。7.ラーメン店は九州では,古くから鹿児島において人口に対して多く存在していた。
著者
山崎 歌織 外西 壽鶴子 加藤 和子 河村 フジ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-36, 2000-02-20
参考文献数
20
被引用文献数
3

材料の種類と水煮時間が異なる煮こごりの品質に付いて調べた結果は次のようであった。1.煮汁をゲル化させた場合,最も硬いゲルを形成する水煮時間は,ぶりやまだらが鶏手羽先よりも短かった。ゲルの硬さは,鶏手羽先が最も高く次いでぶりであり,まだらはかろうじてゲル化する程度であった。2.鶏手羽先のゲルは長時間水煮において安定した硬さを保持するが,ぶり,まだらのゲルは水煮30分以降徐々に軟らかくなった。3.煮汁の透明度は水煮時間の経過と共に低くなり,煮汁中のタンパク質は,ぶり,鶏手羽先では増加した。4.煮汁中のタンパク質には,ゲル形成を促進させるゼラチンの他に阻害するものが含まれている。5.長時間水煮により煮汁中のゼラチン分子は低分子化してゲルは軟らかくなった。
著者
山崎 歌織 外西 壽鶴子 加藤 和子 河村 フジ子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-36, 2000-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20

We examined the effects of ingredients and boiling time on the quality of Nikogori.The boiling time for making the firmest gel with yellowtail and Pacific cod was shorter than that with chicken wings. The firmest Nikogori was that formed from chicken wings, being firmer than that from yellowtail, while the gelling of broth from Pacific cod was very poor.Gel made from chicken wings was relatively stable during long-term boiling. However, those from yellowtail and Pacific cod gradually became soft by boiling for more than 30 minutes.The transparency of the broth decreased with increasing boiling time, and the amount of protein in the broth increased with yellowtail and chicken wings.Proteins in the broth contained the gelatinous molecules forming Nikogori, as well as unidentified proteins hindering the gelation process.The gelatinous molecules in the broth were changed to those of low molecular weight by long-term boiling so that the Nikogori became soft.
著者
山崎 歌織 外西 壽鶴子 御木 英昌
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.163, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 味噌漬したカツオ肉の旨味の増加は、味噌の遊離アミノ酸によることが明らかになった。SDS電気泳動法により味噌漬カツオ肉と漬味噌のタンパク質分解過程を調べた結果、味噌漬10日以降でカツオ肉タンパク質の分解が認められた。この分解は、味噌あるいはカツオ肉のいずれのタンパク質分解酵素によるのかを検討した。 【方法】 凍結カツオ肉を解凍後切り身(20±1g)に調製し、同量の味噌で覆いラップ包装して10~30日間5℃で冷蔵保存したものを試料とした。漬込み期間終了時に漬味噌を外し、漬味噌と味噌漬カツオ肉をそれぞれホモジナイズして、プロテアーゼ活性を調べた。 【結果】 味噌及び漬味噌のプロテアーゼ活性はpH 3で最も高く、pH 5から下降しpH 7~8では若干の活性であった。一方漬込み前のカツオ肉(無処理)は、pH3~8間で活性はほとんど認められなかったが、味噌漬カツオ肉の場合pH7付近において僅かに出現することが判明した。pH3では、無処理カツオ肉と同様味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性は検出されなかった。これらのプロテアーゼの種類を調べるため、アスパラギン酸プロテアーゼの阻害剤Pepstatin Aとセリンプロテアーゼの阻害剤AEBSFによる阻害効果をみた。pH3における味噌及び漬味噌のプロテアーゼ活性は、Pepstatin AとAEBSFによりそれぞれ阻害された。味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性(pH7)も両者によりそれぞれ阻害された。無処理カツオ肉で検出されなかったpH7におけるプロテアーゼ活性が味噌漬カツオ肉に認められたが、pH3においては無処理カツオ肉同様味噌漬カツオ肉には検出されなかった。このことは、味噌漬中に味噌の何らかの成分がカツオ肉に移行して、pH7における味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性を高めたのではないかと考えられた。
著者
竹原 小菊 福司山 エツ子 木戸 めぐみ 山崎 歌織 外西 壽鶴子 進藤 智子 徳田 和子
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.7-25, 2008

平成15・16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-魚介類の調理」の一環で,漁港を有し漁業が盛んな地域,農村米作地域及び都市部の中から9地域100人を対象に,各地域で食べられている魚介類の種類とその調理方法等を,アンケートと聞き取り調査によって調べたので報告する.魚の使用種類は,ほとんどの地域であじがトップを占めていたが,枕崎市はかつお,種子島の西之表市はきびなご,とびうお,鹿屋市はかんぱちであった.海に囲まれた甑島の里村では,極端に魚種が少なく,調理方法も単純であった.調理方法は,なま物(刺身)がトップを占め,次いで焼き物(塩焼き),煮物(鍋物を含む),揚げ物(フライ,てんぷら)がどの地域にも多くみられた.枕崎市には「かつおのびんた料理(頭の塩煮)」等かつおをすべて無駄なく創意工夫した多くの料理がある.また,きびなごはあご,さばに次いでよく食べられており,「きびなごときらす(おから)のおっけ」は普及したい伝承料理の一品である.さらに,豊富にとれる魚(とびうお,小あじ,いわし等)を使用し,風土に適する保存料理として考案されたつけ揚げ(さつま揚げ)など多くの魚介類料理がある.