著者
福山 千愛 竹林 崇 竹内 健太 山口 理恵 島田 真一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.519-526, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
17

要旨:セルフアウェアネスの低下は,日常生活動作の改善やリハビリテーションの阻害因子の1つである.しかし,セルフアウェアネスに対する介入方法やその効果は十分に検討されていない.今回我々は,高次脳機能障害によりセルフアウェアネスの低下を呈した回復期脳卒中患者に対し,作業活動にセルフアウェアネスの促進を目的とした行動学的技法を組み合わせたアプローチを実施した.その結果,身体機能,神経心理学的検査結果に著明な変化がないにもかかわらず,活動パフォーマンスの向上を認め,セルフアウェアネスの改善を示唆する知見を得た.以上より,本アプローチが,活動だけでなく,セルフアウェアネスの改善に対して有用である可能性が示唆された.
著者
山田 順也 竹林 崇 福山 千愛
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.539-546, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
15

身体機能障害に加え,アパシーによる意欲低下や抑うつ症状が出現した脳卒中患者を経験した.事例は介入初期より意欲低下を認め,具体的な目標設定が困難であった.また,経時的に抑うつ感・不安感が出現し,精神機能の評価結果が悪化した.これらの症状に対し,複数のポジティブな視覚フィードバックを用いて,身体機能に対する介入の効果が分かりやすくなるように提示した.結果,アパシーや抑うつの改善とともに言動変化を認め,具体的な目標共有が可能となった.本事例報告において,脳卒中後にアパシーや抑うつを呈した事例に対し,ポジティブな視覚フィードバックを用いた介入は,精神機能の改善や行動変容を促進する可能性が示された.