著者
金居 督之 井澤 和大 久保 宏紀 野添 匡史 間瀬 教史 島田 真一
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.91-103, 2019-09-30 (Released:2019-12-21)
参考文献数
73

本稿では,先ず海外の脳卒中患者における身体活動量研究の動向を病期別に紹介した。次に,我が国における身体活動量研究について現状と今後の課題について概説した。 脳卒中を発症しやすい集団は,発症前から不活動になりやすい。また,発症後のあらゆる病期においても同様に不活動に陥りやすい。更に,身体活動量や活動強度の目標値が示されているものの,脳卒中患者の多くはこれらを満たしていない。これらの対策として,身体活動促進や座位行動減少に焦点を当てたさまざまな介入研究が実施されている。主な介入方策としては,セルフ・モニタリングの指導,目標設定,言語的説得・奨励などの行動変容技法が用いられている。また,近年では,ウェアラブル端末等を利用した遠隔指導も注目されている。 我が国における脳卒中患者の身体活動量研究は,増加傾向にある。しかし,介入研究や長期的なフォローアップに関する研究は極めて少ない。したがって,今後は,脳卒中治療ガイドラインにおいても身体活動の重要性が提示されるべく,より質の高い介入研究が待たれる。
著者
福山 千愛 竹林 崇 竹内 健太 山口 理恵 島田 真一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.519-526, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
17

要旨:セルフアウェアネスの低下は,日常生活動作の改善やリハビリテーションの阻害因子の1つである.しかし,セルフアウェアネスに対する介入方法やその効果は十分に検討されていない.今回我々は,高次脳機能障害によりセルフアウェアネスの低下を呈した回復期脳卒中患者に対し,作業活動にセルフアウェアネスの促進を目的とした行動学的技法を組み合わせたアプローチを実施した.その結果,身体機能,神経心理学的検査結果に著明な変化がないにもかかわらず,活動パフォーマンスの向上を認め,セルフアウェアネスの改善を示唆する知見を得た.以上より,本アプローチが,活動だけでなく,セルフアウェアネスの改善に対して有用である可能性が示唆された.
著者
三枝 信吾 加茂 亜里沙 稲本 あさみ 久保 宏紀 山崎 允 野添 匡史 間瀬 教史 島田 真一
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12208, (Released:2022-02-21)
参考文献数
43

【目的】二次性サルコペニアを呈したTrousseau 症候群患者に対する理学療法について報告する。【対象と方法】卵巣癌の精査中に小脳梗塞を発症した50 代女性である。初期評価では,握力は右8.5 kg/左11.5 kg,快適歩行速度は0.73 m/ 秒,Skeletal Muscle mass Index(以下,SMI)は4.4 kg/m2 であり,重症サルコペニアを呈していた。分岐鎖アミノ酸を含む栄養療法でタンパク質の摂取量を漸増させ,運動療法は低負荷高頻度Resistance Training と有酸素運動を中心に実施した。【結果】最終評価では,握力は右18.9 kg/ 左19.3 kg,快適歩行速度は1.17 m/ 秒,SMI は5.6 kg/m2 と各指標で改善を認め,歩行自立で自宅退院となった。【結論】二次性サルコペニアを合併したTrousseau 症候群に対して,適切な栄養管理下の運動療法は効果的である可能性が示唆された。
著者
池田 奈菜子 竹林 崇 花田 恵介 島田 真一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.466-472, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
17

要旨:【はじめに】慢性腎臓病を併発した脳卒中患者は低栄養状態に陥りやすい.【方法】慢性腎臓病を呈している脳卒中患者にリスク管理や栄養管理に注意しながら入院・外来リハビリにて複合的な上肢機能練習を実施した.【結果】入院期間中は麻痺手の瞬発的な筋出力は改善したが,持久力を伴う生活場面の使用には支障をきたしていた.退院後,新たに栄養状態を改善するために処方された腎不全患者用の配合薬を摂取しながら運動を行った.結果,持久力の向上が得られ,日常生活で右手の使用頻度に改善が得られた.【結論】腎臓病を併発した脳卒中患者に対しても,適切な運動負荷に加え栄養指導を行うことで長期的な上肢機能の改善が得られる可能性がある.
著者
瀧野 貴裕 竹林 崇 竹内 健太 友利 幸之介 島田 真一
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.661-668, 2018-12-15

要旨:脳卒中後上肢麻痺への治療戦略として課題指向型練習が挙げられるが,課題指向型練習単独では生活での麻痺手の使用頻度向上にはつながらないとの報告がある.今回,重度上肢麻痺を呈した脳卒中患者に対し,早期から課題指向型練習を実施した.当初から上肢機能は改善したが,生活での麻痺手の使用頻度には全く変化がなかったため,Aid for Decision-making in Occupation Choice for Hand(以下,ADOC-H)を用いてTransfer Package(以下,TP)を実施し,麻痺手の行動変容を試みた結果,生活での麻痺手の使用頻度が向上し,麻痺手使用に肯定的な意見を聞くことができた.回復期でのADOC-Hを用いたTPは,麻痺手の使用頻度を促進する可能性があると考えられた.
著者
久保 宏紀 金居 督之 北村 友花 古市 あさみ 山本 実穂 小林 実希 野添 匡史 間瀬 教史 島田 真一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.222-229, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
37

【目的】脳内出血患者における急性期病院退院時の機能予後およびその要因を検討すること。【方法】2013年4月~2015年3月に入院となった脳内出血患者88例(男性76%,平均年齢65.2 ± 11.2 歳)を対象に,退院時modified Rankin Scale を用い予後良好群と予後不良群に群分けし,機能予後に影響を及ぼす因子およびそのカットオフ値を検討した。【結果】Cox 比例ハザード分析の結果,退院時機能予後に影響を与える因子として年齢(p = 0.008),入院時NIH Stroke Scale(p = 0.001)および離床開始日(p < 0.001)が抽出され,各カットオフ値はそれぞれ66 歳(感度:0.758,特異度:0.582),7 点(感度:0.970,特異度:0.818),2病日(感度:0.788,特異度:0.836)であった。【結論】脳内出血患者の急性期病院退院時の機能予後は年齢,重症度,離床開始日が関連している。
著者
久保 宏紀 金居 督之 北村 友花 古市 あさみ 山本 実穂 小林 実希 野添 匡史 間瀬 教史 島田 真一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11130, (Released:2016-03-29)
参考文献数
37

【目的】脳内出血患者における急性期病院退院時の機能予後およびその要因を検討すること。【方法】2013年4月~2015年3月に入院となった脳内出血患者88例(男性76%,平均年齢65.2 ± 11.2 歳)を対象に,退院時modified Rankin Scale を用い予後良好群と予後不良群に群分けし,機能予後に影響を及ぼす因子およびそのカットオフ値を検討した。【結果】Cox 比例ハザード分析の結果,退院時機能予後に影響を与える因子として年齢(p = 0.008),入院時NIH Stroke Scale(p = 0.001)および離床開始日(p < 0.001)が抽出され,各カットオフ値はそれぞれ66 歳(感度:0.758,特異度:0.582),7 点(感度:0.970,特異度:0.818),2病日(感度:0.788,特異度:0.836)であった。【結論】脳内出血患者の急性期病院退院時の機能予後は年齢,重症度,離床開始日が関連している。