著者
山口 理恵子
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.77-88, 2005-08-05 (Released:2010-04-21)
参考文献数
25

This paper explores the structure of sport culture using the concept of the “constructive outside” as proposed by Judith Butler. Issues of “sexual commodification” by female athletes, such as nude representations, have been on the rise since around 2000. Although most scholars explain this as resulting from a lack of funds for women's sport, explanation is based on the notion that a “woman” is a consistent entity. In addition, such perspective may ignore the power of sporting norms that implicitly universalize “masculinity” in sport. In this paper, I am concerned with the relation between the issues of the “sexual commodification” of female athletes and the function of the “constructive outside” that always surrounds sporting norms.
著者
山口 理恵子
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.39-52, 2010-09-30 (Released:2016-10-05)
参考文献数
22

「ジェンダー論的まなざしと身体のゆらぎ」を主題とする特集の一論考に位置づけられる本稿は、まず、スポーツ・ジェンダー研究がこれまで「まなざし」を直接的にどのよう論じてきたのかを明らかにするため、スポーツのメディア表象を対象とした先行研究を手がかりとする。スポーツ・ジェンダー研究のメディア批評は、これまでメディアの送り手を「男の眼差し」と措定し、女性アスリートの女性性を強調するメディアのジェンダー・バイアスを批判してきた。この「男の眼差し」は、「見る男性」と「見られる女性」という非対称な関係図式に基づくものであるが、インターネットの普及やスポーツ・マーケティングの席巻などにより、「男の眼差し」を論拠とする視座では捉えきれない現象――消費し「見る」女性、「見られる」男性――が広がっている。多様な現象を捉えず、スポーツ・ジェンダー研究が「男の眼差し」を採用するならば、それは皮肉にも、男女の非対称な二元化を批判してきたスポーツ・ジェンダー研究が、その二元化に固執しているという「まなざし」を詳らかにしてしまう。 今日のスポーツ界は、多様化し、錯綜し、階層化している。それを顕著に例証しているのが、セクシュアル・マイノリティの位置づけである。一部のセクシュアル・マイノリティは、厳密な条件の下にオリンピックへの出場が許可されるようになった。しかしそれは、セクシュアル・マイノリティを包摂する規定のようでありながら、物質的な身体の改変・加工を強要するものであった。またそれは、政治的、文化的、経済的な力によって左右され、セクシュアル・マイノリティの階層化を招く可能性がある。ジェンダーとそれ以外の因子とが複雑に絡まり合ったスポーツ界を批評するために、ジェンダー論的「まなざし」の重要性と精緻化がこれまで以上に求められている。
著者
福山 千愛 竹林 崇 竹内 健太 山口 理恵 島田 真一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.519-526, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
17

要旨:セルフアウェアネスの低下は,日常生活動作の改善やリハビリテーションの阻害因子の1つである.しかし,セルフアウェアネスに対する介入方法やその効果は十分に検討されていない.今回我々は,高次脳機能障害によりセルフアウェアネスの低下を呈した回復期脳卒中患者に対し,作業活動にセルフアウェアネスの促進を目的とした行動学的技法を組み合わせたアプローチを実施した.その結果,身体機能,神経心理学的検査結果に著明な変化がないにもかかわらず,活動パフォーマンスの向上を認め,セルフアウェアネスの改善を示唆する知見を得た.以上より,本アプローチが,活動だけでなく,セルフアウェアネスの改善に対して有用である可能性が示唆された.
著者
太田 啓路 河合 隆史 海老根 吉満 山口 理恵
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.343-351, 2004-12-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

We simulated videogame scenes in simplified 3D computer graphics and evaluated the discomfort from the images by altering the simulation parameters. In the evaluation, the subjects viewed the images including oscillating motion and rotating motion with or without a fixation object. The subjective symptoms on the discomfort of image, degree of motion sickness, sense of eye movement and body movement were assessed by a 5 point rating questionnaire. Besides, the eye movements during viewing the stimuli were measured by using video camera. We found a significant relationship between the discomfort of the images and the sense of eye movement under the condition of oscillating motion. Moreover, the eye movements were reduced by adding the fixation object into the images.
著者
太田 啓路 河合 隆史 海老根 吉満 山口 理恵
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.343-351, 2004
参考文献数
13
被引用文献数
3

We simulated videogame scenes in simplified 3D computer graphics and evaluated the discomfort from the images by altering the simulation parameters. In the evaluation, the subjects viewed the images including oscillating motion and rotating motion with or without a fixation object. The subjective symptoms on the discomfort of image, degree of motion sickness, sense of eye movement and body movement were assessed by a 5 point rating questionnaire. Besides, the eye movements during viewing the stimuli were measured by using video camera. We found a significant relationship between the discomfort of the images and the sense of eye movement under the condition of oscillating motion. Moreover, the eye movements were reduced by adding the fixation object into the images.
著者
山口 理恵子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.47_2-47_2, 2016

<p> 近代家族に代表される性役割分業および異性愛中心主義など、既存の枠組みに潜む権力構造を明らかにし、特に女性の不在や劣位に対して異議申し立てを行ってきた女性学・ジェンダー研究の視座が、スポーツ領域の分析にも援用されるようになって久しい。このスポーツ・ジェンダー研究は、女性スポーツおよび女性アスリートの飛躍とともに醸成を続け、メディアや教育におけるジェンダーバイアス、リーダー的地位における女性の不在、男性性の恣意性などを明らかにしてきた。現在、国家レベルの疑惑にまで発展しているドーピング問題や、刻々と変わる「性別」に関わるIOCの規定、さらには東京五輪招致をめぐる収賄疑惑など、オリンピックの開催意義が改めて問い直されている。このような状況の中、果たしてスポーツ・ジェンダー研究はどのような貢献をしうるのか。発表では、1975年の創刊から40年以上経つ研究誌、Sex Rolesの女性スポーツ特集(2016年74巻)を参考にしつつ、これまでのスポーツ・ジェンダー研究を振り返りながら、そこに残されている課題とともに今後のスポーツの可能性についても探ってみたい。</p>