著者
朴 秀吉 福永 潔 小林 昭彦 小田 竜也 村田 聡一郎 佐々木 亮孝 大河内 信弘
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.16-22, 2012-01-01 (Released:2012-01-21)
参考文献数
22

はじめに : アルブミン製剤は術後患者や重症患者に広く使われているが,近年,適正使用が勧められている.そこでわれわれは肝細胞癌切除術後患者を対象にアルブミン製剤の使用指針を厳守し,術後経過に与える影響について検討を行った.方法 : 対象は2005年9月から2010年5月までに肝細胞癌に対して切除術を行った72例である.2008年9月以降,使用指針を厳守し,アルブミン製剤使用を制限した.症例を制限前の36例と制限後の36例に分け,患者背景因子,手術因子,術後アルブミン製剤使用量と術後血清アルブミン値,大量腹水発症率,在院死亡率,術後在院日数について比較検討を行った.結果 : 制限後群は男性が多く,ICG-R15が高値であったが,それ以外の患者背景因子,手術因子に有意差を認めなかった.術後1週間のアルブミン製剤使用量は制限後群で有意に少なく,それに伴い血清アルブミン値は有意に低値であった.大量腹水は制限前群に3例(8.3%),制限後群に5例(14%),在院死亡は制限後群に1例(2.8%)認めたが,これらの術後因子については術後在院日数を含めて両群間に有意差を認めなかった.考察 : 肝細胞癌切除術において術後にアルブミン製剤の使用を制限し,血清アルブミン値が低値であったが,術後経過に有意な悪影響を及ぼさなかった.さらなる検討が必要であるが,肝細胞癌切除術後にアルブミン製剤の使用量を節減できる可能性がある.
著者
大河内 信弘 福永 潔
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

肝細胞癌の遺伝子異常に関しては未だコンセンサスを得られていない。本研究ではアンチセンスRNAに注目し、肝細胞癌でのセンス/アンチセンスRNAの網羅的解析を行い、癌部非癌部の比較で発現変化に有意差のあるアンチセンスRNAを同定した。さらに、C型肝炎ウィルス陽性肝細胞癌を対象に詳細な分析を進め、アンチセンスRNAの発現に癌部・非癌部の比較で発現変化に有意差のあること、及び組織型毎の比較でも発現に有意差のあることを確認した。