著者
上久保 恵美子 比企 静雄 福田 友美子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.11-18, 1997-01-31
被引用文献数
1

聴覚障害者の社会活動のための言語媒体の有効性について分析する研究の一環として、各種の言語使用の場面に応じた言語媒体の使い分けと手話通訳者の有効性を検討した。この研究で使った調査資料は、東京と近県の重度聴覚障害者に1991年に質問紙を郵送して、20歳〜70歳の男女約1,700人から回答を得たものである。そのうちの、口話・手話・筆談などの使用についての諸項目の応答を、種々な場面での有効性に注目して分析した。その結果、旅行、市役所・警察・病院、子供の入学式・卒業式、子供のPTAの集まり、駅やバス・電車の放送などの日常生活での対照的な言語使用の場面に応じて、言語媒体の使用の割合や有効な程度が著しく異なること、手話通訳者や介助者の助けが場面によっては有効に役立っていることが明らかになった。
著者
福田 友美子 森本 行雄 四日市 章
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.229-235, 1994-06-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1

現在の日本社会における聴覚障害者のコミュニケーション手段の使用に関して, 先天性の重度聴覚障害者の集団を対象にして, 郵便によるアンケート調査を行った。 3740通の質問紙を発送したのに対して回答数は1696通で, 回答率は45%であった。 その結果次のことがわかった。1. コミュニケーションの相手によって, 異なったコミュニケーション手段を用いていた。2. 音声言語でのコミュニケーションが要求される場面では, 筆談を用いているものが多かった。3. コミュニケーションの手段として, 手話が最も有効であり, 続いて指文字・読話・補聴器の順に有効性が高いという判断がなされていた。4. 先天性の聴覚障害者であっても, 情報補償の方法として, 手話だけでなく文字による補償への希望も同様に多かった。
著者
福田 友美子 田中 美郷
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.17-26, 1986-12-29
被引用文献数
2

6〜11歳の聴覚障害児40名(平均聴力レベル50〜130dB)を対象にして、文のイントネーションと単語のアクセントを検査材料に用いて、発話の音声サンプルを録音した。それらの基本周波数を観測し、疑問文と平叙文の分末の音程の変化の差や単語のアクセント型による前後の音節の音程の変化の差を分析した。一方、各検査項目についての発話の品質を、聴覚的に判定して、正しい発話と誤った発話とそれらの中間の発話に分類した。そして、これらの音響的分析の結果に基づいて、標準的な発話の場合の音声の性質を参照して、正しい発話の領域を設定すると、聴覚的判定の結果と良く対応した。従って、このような音響的分析の結果から、文のイントネーションや単語のアクセントの品質を客観的に評価できることが示されたことになる。さらに、このような評価方法より得られた結果と対象児の聴力レベルの特性との関係を調べたところ、発話の声の高さの調節は低い周波数域の聴力レベルと密接に関連しており、250Hzと500Hzでの聴力レベルで境界を設定することによって、高さの調節能力を予測できることが示された。
著者
福田 友美子 田中 美郷
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.17-26, 1986-12-29 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1

6〜11歳の聴覚障害児40名(平均聴力レベル50〜130dB)を対象にして、文のイントネーションと単語のアクセントを検査材料に用いて、発話の音声サンプルを録音した。それらの基本周波数を観測し、疑問文と平叙文の分末の音程の変化の差や単語のアクセント型による前後の音節の音程の変化の差を分析した。一方、各検査項目についての発話の品質を、聴覚的に判定して、正しい発話と誤った発話とそれらの中間の発話に分類した。そして、これらの音響的分析の結果に基づいて、標準的な発話の場合の音声の性質を参照して、正しい発話の領域を設定すると、聴覚的判定の結果と良く対応した。従って、このような音響的分析の結果から、文のイントネーションや単語のアクセントの品質を客観的に評価できることが示されたことになる。さらに、このような評価方法より得られた結果と対象児の聴力レベルの特性との関係を調べたところ、発話の声の高さの調節は低い周波数域の聴力レベルと密接に関連しており、250Hzと500Hzでの聴力レベルで境界を設定することによって、高さの調節能力を予測できることが示された。
著者
上倉 洋人 横地 さち 福田 友美 橋本 八洋 四家 卓也 澤原 卓 鈴木 邦彦 武藤 久司 田中 繁 野田 友和 川崎 仁史 岸田 知子 渡辺 聡美 石井 伸尚 久下沼 元晶
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.E1080, 2006

【はじめに】<BR> 理学療法士がアプローチすべき運動として、特に歩行が重要視されるのは言うまでも無いが、疾患・加齢・障害などによってそのアプローチ方法は様々である。近年では免荷式歩行練習の成果が報告されつつあるが、それらのほとんどはトレッドミル上での練習である。しかし、医学的リハビリテーションにおける歩行練習は単なる機能練習としてのみでなく、実際のADLの中でも行われる必要があると考える。立位という抗重力姿勢での移動とADLが組み合わさることで、種々の運動機構が使われ、動作の学習や習熟などによる神経学的・生理学的な効果が期待されると考えるからである。<BR> 我々はこれまで上記のような効果を期待し、移動手段としても利用可能な形態を持つ歩行器型免荷式歩行練習装置を開発し、それによる自主歩行練習の可能性について調べてきた。この発表においては、装置の開発経緯についてと、実際に利用し練習の効果や生活場面での実用性などについて検討してきたので報告する。<BR>【装置、対象、調査方法】<BR> 装置は、メーカー、演者の所属する施設、および大学研究室が協同で開発してきたもので、体重の30%~40%までの免荷が可能である。一号機を利用して頂いた対象は60歳男性の脊髄損傷不全対麻痺者(L3残存)で、使用した時の感想を聞くと共に、演者らが主観的に問題点を明らかにした。<BR>【結果】<BR> 一号機の問題点として抽出された事柄を以下にあげる。1.総重量77.8kgであり介助が無い状態での推進が困難であり実用的ではなかった。2.トゥーオフで踵部が後方のフレームに当ってしまい不快感を訴えた。3.練習用としては良いが、実生活で使用した際は形態に違和感があった。4.免荷を行うための機構操作時の音が大きく不快であった。5.スリング装着時の手順が複雑、かつフィット感が十分でなかった。6.装置に着くまでが困難であり、立位が可能でないと難しかった。<BR> 二号機はこれらの点に改良を加え以下のような装置となった。1.総重量61.8kgと軽量化を図った。2.通常の歩行器と同様に前方にフレームがあり後方には無い形態とし踵部が当たらないようにした。3.またこれによりベッドからあるいは車いすから直接装置に着くことが可能となった。4.免荷機構を改善し操作音は無音に近くなった。5.スリングの全面的な見直しを図りベッド上臥位の姿勢でもスリングが装着できようになった。6.前腕支持部分を取り除くことによりADLでの上肢参加が可能となった。<BR>【考察】<BR> 二号機での改良を施したことにより、装置を用いた歩行練習の適応者が増加したと判断している。ベッドからのアプローチが可能なので立位保持不可能な対象でも練習が実施可能であり、また軽量化により介助なしの自主練習も可能なレベルとなったと考えている。<BR> 今後は、再度モニタリングして問題点を抽出し、三号機で実用化を、そして四号機での商品化を目指していく。