著者
福田 雅臣
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は「食育」を歯科保健の立場,特に歯・口の機能という視点から,食育支援のための授業プログラムの作成と実践活動を小学校において,学校保健教育の中で行い,その効果として児童の行動変容を評価することを研究目的とするものである。調査対象は小学校3年生から6年生の男子1545名,女子1456名の計3001名である。健康教育の効果は生活習慣,食習慣の関するセルフチェックシートを用いて行った。その結果,生活習慣,口腔衛生習慣に関す項目で僅かではあるが改善傾向にあることがわかった。また,むし歯予防のための行動として,「歯磨きをする」,「よくかんで食べる」,「フッ素入り歯磨き粉を使う」との回答が多かった。
著者
竹木 幸恵 福田 雅臣 丹羽 源男
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.192-203, 1997-04-30
被引用文献数
3

う蝕予防を実践する際の重要な項目として,食事内容の改善があげられる.その場合,ショ糖摂取状況を把握することはう蝕の発生リスクを評価するうえで貴重な情報となる.このための方法としてアンケート調査が用いられてきたが,客観性に乏しい.そこでアンケートにかわるショ糖摂取状況の評価法として,唾液中の細菌の産生するショ糖分解酵素であるシュークラーゼに着目した.本研究では,唾液中シュークラーゼ活性の測定によるショ糖摂取状況の客観的評価を目的とし,男性65名,女性107名を対象に唾液中シュークラーゼ活性の測定条件の確立,およびショ糖摂取状況との関連性について検討し,以下の結果を得た. 1. 唾液中シュークラーゼ活性の測定条件として,全唾液1mlあたりショ糖100mgを添加し,37℃にて90分間のインキュベートが適切であった. 2. 採取直後および4℃にて24時間保存後の唾液中のシュークラーゼ活性を比較したところ,両者のシュークラーゼ活性に有意な差はみられないことから,保存唾液による測定も可能であった. 3. 唾液中シュークラーゼ活性は,各種食品のうちショ糖含有で,日頃習慣的に摂取される食品の摂取頻度と有意な相関が認められた. 4. 唾液中シュークラーゼ活性は,因子分析により細菌性因子および宿主性因子から独立した食餌性因子として抽出された.以上の結果から,唾液中シュークラーゼ活性はショ糖摂取頻度を反映しており,う蝕活動性試験として応用可能であることが示唆された.