著者
福間 将文
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

量子重力理論の新しい定式化として、量子力学の起源をランダムネスに置き、「ランダムネスから時空の幾何が発現する機構」を構築した。具体的には、マルコフ確率過程における遷移の難しさを定量的に表す量として「配位間の距離」という概念を初めて導入し、様々な確率過程からどのような時空が得られるのかを調べた。とくに行列模型の確率過程については、固有値を時空の座標とみなしながら、結合定数を付加的力学変数とする焼き戻しを行うと、拡大された配位空間に、3次相転移点をホライズンとする漸近的反ド・ジッター・ブラックホールの幾何が現れることを示した。