著者
佐藤 美紀子 原 祥子 福間 美紀 加藤 真紀
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20190603055, (Released:2019-09-11)
参考文献数
115

脳卒中患者のセルフマネジメントに関する研究の動向と実態を明らかにすることを目的に,文献レビューを行った。医中誌,PubMed,CINAHLにおいて,国内文献7件,国外文献98件が抽出された。研究は2000年以降に報告されており,過去5年間の国外の介入研究が増加していた。国内では,実態調査と文献レビューのみであったが,国外では,尺度開発,支援ツールの開発,介入プロトコル,介入研究,介入プログラムの評価も行われていた。セルフマネジメントのプロセス全体を評価した実態調査は十分に行われておらず,介入プログラムも開発段階であった。適切なセルフマネジメント行動により,心身機能やQOLの向上が期待できる一方で,退院後の療養支援環境が十分に整っていないことが一因となり,適切な行動がとれない患者が一定割合で存在する実態が明らかになった。プロセス全体を評価できる指標や尺度の開発,実態に基づく介入プログラムの開発が求められた。
著者
福間 美紀 塩飽 邦憲
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.69-76, 2012-07-31 (Released:2012-11-21)
参考文献数
25
被引用文献数
1

高齢者の死亡に関する研究は生活習慣病が関与していることが多く報告されている。しかし,加齢に伴う身体機能や生活機能の虚弱が,生活習慣から独立して死亡に影響するか否かは十分に明らかになっていない。このため,高齢者の死亡への生活習慣と虚弱の関連を明らかにすることを目的に,島根県雲南市の生活機能の低下した新規の要支援認定高齢者 (軽度障がい高齢者) 66人と,生活自立している高齢者 (元気高齢者) 72人の2群について3年間の前向き調査を実施した。軽度障がい高齢者の死亡率は元気高齢者と比べ多い傾向であったが,有意差は認められなかった。すでに虚弱の進行した軽度障がい高齢者の死亡には,性 (男性が女性よりも有意に増加) のみが関連し,生活習慣や虚弱は関連していなかった。元気高齢者の死亡には,生活習慣の喫煙と虚弱要因の歩行障害が有意に関連していた。このように高齢者の死亡には,生活習慣と虚弱が独立して関連していることが明らかになった。