著者
宮井 輝幸 秋山 正行 中川 稔 矢野 陽一郎 池田 三知男 市橋 信夫
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.591-594, 2012-11 (Released:2013-10-08)

コーヒー,紅茶および緑茶の各種試料に,Bacillus属細菌(B. cereus,B. subtilis,B. coagulans)芽胞を接種し,85℃30分間(食品衛生法におけるpH4.6以上の清涼飲料水の殺菌基準)加熱処理した後,その試料の保存中における生育挙動を調べた。コーヒー,紅茶試料では,牛乳を添加した場合,B. cereusとB. subtilisの菌数の増加がみられたが,牛乳を添加していないコーヒー,紅茶および緑茶の各種試料(pH調整の有無;コーヒーの焙煎度;紅茶の抽出温度;コーヒー,紅茶への砂糖添加)では,Bacillus属3菌種の菌数の減少がみられた。これらのことより,85℃30分間の加熱殺菌条件で製造した牛乳無添加の各種飲料中にBacillus属3菌種が生残していたとしても,コーヒー,紅茶および緑茶の抗菌性により商業的な無菌性が保証される可能性が示唆された。
著者
宮井 輝幸 秋山 正行 中川 稔 矢野 陽一郎 池田 三知男 市橋 信夫
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.591-594, 2012-11-15 (Released:2012-12-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

コーヒー,紅茶および緑茶の各種試料に,Bacillus属細菌(B. cereus, B. subtilis, B. coagulans) 芽胞を接種し,85℃30分間(食品衛生法におけるpH 4.6以上の清涼飲料水の殺菌基準) 加熱処理した後,その試料の保存中における生育挙動を調べた.コーヒー,紅茶試料では,牛乳を添加した場合,B. cereusとB. subtilisの菌数の増加がみられたが,牛乳を添加していないコーヒー,紅茶および緑茶の各種試料(pH調整の有無;コーヒーの焙煎度;紅茶の抽出温度;コーヒー,紅茶への砂糖添加) では,Bacillus属3菌種の菌数の減少がみられた.これらのことより,85℃30分間の加熱殺菌条件で製造した牛乳無添加の各種飲料中にBacillus属3菌種が生残していたとしても,コーヒー,紅茶および緑茶の抗菌性により商業的な無菌性が保証される可能性が示唆された.
著者
秋山 正行 片倉 友義 渡邊 武俊 今吉 有理子 池田 三知男 市橋 信夫 大西 正展 岩渕 久克
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.76-83, 2012-02-15
参考文献数
12
被引用文献数
1

(1) ゲーブルトップ紙容器の透過香気成分を捕集するガラス製装置を作製した.<BR>(2) グレープティーの透過香気成分の捕集条件を検討した結果,SPMEファイバー種:PDMS/DVB,捕集温度:10℃,捕集時間:30分間,捕集タイミング:24時間静置後,に設定した.<BR>(3) ノンバリアとバリア容器種間で,香気成分量に差が認められるグレープティーの透過香気成分を明らかにした.特にエステル類において差が顕著であった.<BR>(4) 容器種間で透過香気の匂い強度が顕著に異なる,6種の匂い成分(ethyl 2-methylpentanoate, ethyl butanoate, ethyl 2-methylbutanoate, ethyl 3-methylbutanoate, ethyl 2-methylpentanoate, methyl anthranilate)を明らかにした.
著者
鈴木 泰輔 秋山 正行 松井 洋明 溝田 泰達 住 正宏 岩附 慧二
出版者
日本食品科学工学会
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.199-205, 2014 (Released:2014-09-25)

間接加熱法(PLT)および直接加熱法(INJ)によるUHT殺菌牛乳(TBA容器)の10℃での長期保存における物理化学的性状および官能特性の変化を調査した。各殺菌牛乳の殺菌直後の乳清タンパク質変性率,RNT,フロシン,およびラクチュロースの分析結果から,加熱殺菌による影響は150℃ 2.4秒間のINJ殺菌牛乳の方が,140℃ 2秒間のPLT殺菌牛乳よりも小さいことが示された。保存経過に伴い両殺菌牛乳のRNTは次第に減少したが,その程度はINJ殺菌牛乳の方がPLT殺菌牛乳に比べて小さかった。溶存酸素量は,両殺菌牛乳とも保存経過に伴い同様に減少する傾向がみられたが,保存期間を通じてINJ殺菌牛乳の溶存酸素量はPLT殺菌牛乳と比べて極めて少なかった。専門家パネルによる官能属性評価スコアを用いた主成分分析により,両殺菌牛乳ともに,保存経過により濃厚感が増し新鮮感が減少するが,INJ殺菌牛乳の方がPLT殺菌牛乳よりも濃厚感と新鮮感が強いことが示された。また,官能総合評価において,保存開始時のINJ殺菌牛乳は,PLT殺菌牛乳よりも評価スコアが高く,保存経過に伴いINJ殺菌牛乳の評価スコアはほとんど変化しなかったのに対し,PLT殺菌牛乳の評価スコアは低下する傾向がみられた。以上より,直接加熱法(INJ)によるUHT殺菌は,間接加熱法(PLT)よりも品質の安定性に優れ,風味上も好ましいLL牛乳の製造に適する可能性が示唆された。